副題:1時間のプチ移動から本格出張まで
著者:上田 渉 出版社:実業之日本社 2010年12月刊 \1,050(税込) 215P
「さおだけ屋」の山田真哉さんが呼びかけて12月11日にお台場・東京カルチャーカルチャーで開催された「日本タイトルだけ大賞2010」に参加した。
内容は問わずタイトル“だけ”を審査するというイベントには、こんなタイトルの本がエントリーされていた。
当日発表された審査結果では、
【大賞】 『スラムダンク孫子』 遠越段(総合法令出版)
【残念賞】 『命とひきかえにゴルフがうまくなる法』 小暮堅三(徳間書店)
となっていた。
個人的には、鈴木眞哉著『その時歴史は動かなかった!?』 (PHP新書) がツボだったのだが、それはさておき、当日、名刺交換した編集者の方、著者ご本人からその場で献本を頂戴した。
献本いただいた中から、今日は『ノマド出張仕事術』を紹介させていただく。
著者の上田渉さんは、株式会社オトバンク代表取締役社長。1980年神奈川生まれで、東京大学経済学部在学中に政治家を目指して学生団体を立ち上げた。今でいうNPO活動をしていたのだ。
社会人といっしょに活動していたので、勉強と活動を両立させなければならず、いつでも、どこでも仕事をする習慣ができたそうで、これが本書の原点となっている。
大学3年生でオトバンクを創業してからは忙しさに拍車がかかり、とうとう大学を中退してしまったのだが、学生と社長業を両立させるために、ノマドワーキングに磨きがかかった、とのこと。
そんな上田さんにとって、
出張は、仕事効率をアップさせ、自分時間を豊かにできるビジネスマンに与えられた唯一の余裕時間
だ。
念のために書いておくと、ノマド(遊牧民)ワーカーとは、「オフィスに縛られず、働く場所を自由に選択するワークスタイルをとる人」のことだ。
ノマド出張を支える武器は、(1)ノートパソコン、(2)スマートフォン、(3)B5ノート、の3つだ。この3つを使って、どんなふうに新幹線の中やビジネスホテルを快適な空間に変え、仕事を効率よくこなしていくか。本書には、上田流のノウハウがたくさん書かれている。出張の多い人には、参考になる内容と思う。
ただ、人のワークスタイルはさまざまだ。
転勤で職場が近くなってから1年が過ぎ、すっかり僕は定住民族になってしまった。30分以内で職場に着いてしまうし、新幹線に乗る機会もめっきり少なった。iPhone や iPad に興味はあるが、ノマド生活に無縁の身では無用なガジェットだ。
それに、最近コンプライアンスだのセキュリティだのがうるさくなって、そもそも個人のパソコンを使って会社の仕事をすることが禁止されている。
残念ながら、僕の本業の仕事環境に合わない本だった。
ただ、ブックレビュアーとして僕もオトバンクの「新刊JPポッドキャスティング」を聞いているので、上田さんがChapte 2 で勧めているオーディオブックの効用は、よく分かっているつもりだ。
これからも応援するので、頑張って事業拡大してくださいね、上田さん!
なお、上田さんも「タイトルだけ大賞」の審査員を務めていて、大賞とは別に、審査員特別賞も発表していた。
上田 渉賞は、次の2冊の合わせ技だった。
ご参考まで。
(全ての結果発表は、こちらを参照)