父が牛飼いになった理由
著者:川﨑 秋子 出版社:集英社 2025年3月刊 1,100円(税込) 230P
2024年1月に『ともぐい』で第170回直木賞を受賞した河崎秋子氏の初の新書である。
著者の実家は北海道別海町で酪農をしていて、著者自身も作家専業になる前は実家の手伝いをしながら羊飼いをしていた。
2009年秋、66歳だった父親が脳卒中で倒れて高次脳機能障害を発症してしまった。
自我とそれまでの記憶のほとんどを失ってしまった寝たきりの状態の父親を、施設に入るまでの12年間、著者は家族といっしょに在宅介護した。
「着替えも下の世話も車椅子での移動もなんでもやった」という。
父親は自分から昔話をする人ではなかったので、酪農家になった理由も、若い頃にどんなことを考えていたのかも、どんな人生を送ってきたのかも聞いたことがない。
いくら聞いても頼んでも、今となっては、話してくれる状態ではなくなった。
じゃ、調べてみよう。
ということで父親の生い立ちを調べはじめた著者は、親戚へのインタビューを通じて、朝ドラになるような祖父・祖母のエピソードや戦国時代にさかのぼる家系図に出会うことになった。
本書は、直木賞作家が400年以上のファミリーヒストリーに出会ったノンフィクションである。
続きを読む私労働小説 ザ・シット・ジョブ
著者:ブレイディみかこ 出版社:KADOKAWA 2023年10月刊 1,650円(税込) 255P
著者のブレイディみかこ氏は、2019年に発刊した『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で知られるエッセイストである。
『ぼくはイエローで……』(長いので文芸関係者は「ぼくイエ」と省略するらしい)は、イギリスの元底辺中学校に通う息子が、人種、貧富の差、ジェンダーなど様々な問題に出会い、悩みながら日常を過ごす姿を描いたエッセーで、「本屋大賞2019 ノンフィクション本大賞」はじめ、多くの賞を受賞している。
今も英国に住みながらライター活動をしている著者だが、本人が「なんだかわけのわからないところからヌルッと出てきた、得体の知れない執筆業者」と言うとおり、来歴が知られていない。
どんな前半生を送ってきたのかなぁ、と興味を持っていたので、「私労働小説」というタイトルに惹かれて手にとった。
続きを読む口の立つやつが勝つってことでいいのか
著者:頭木 弘樹 出版社:青土社 2024年2月刊 1,980円(税込) 269P
著者の頭木(かしらぎ)氏は「文学紹介者」という聞き慣れない肩書きを名乗っている。
10代までは本を読まない人間だったが、大学3年生で難病にかかって13年も闘病生活を送った経験があり、そのときカフカの言葉に救われたことから『絶望名人カフカの人生論』を書いた。
病気と一生つきあう生活を送っていると、世の中の「ふつう」と自分にとっての「ふつう」がちがう場面に行き当たることが多くなった。
心の中の思いを形にしたいと思っていたときに、日経新聞夕刊のエッセイコーナーへの連載打診を受け、半年間連載した原稿が本書の基になっている。
本書は、社会の弱い立場や少数派に属している人の視点から、強い立場や多数派の人が当たり前に思っていることに、「それでいいんですか?」と疑問をなげかけるエッセイである。
続きを読むなぜ働いていると本が読めなくなるのか
著者:三宅 香帆 出版社:集英社 2024年4月刊 1,100円(税込) 285P
本読みにとって身に覚えのある題名だ。
本が売れなくなったと言われるが、「本を読みたいのに読めない」と思っている人の心をグッと掴んだ本書は、よく売れているらしい。
発売1週間で10万部超え! と新聞広告に載っていた。
本書奥付の発行日が2024年4月22日で、僕がこの本を買ったのが5月1日だから、僕も発売後すぐに飛びついた一人だ。
なんで飛びついてしまったかというと、目次の1行目、
まえがき 本が読めなかったから、会社をやめました
にびっくりしたからだ。
えーーーっ!!
そんなことで会社やめちゃったのーーーー
この人、すごい。
ぶっ飛んでる!!
佐久間宣行のインプット&アウトプット
雑誌:SWITCH VOL.42 NO.5 (2024 MAY.)
出版社:スイッチ・パブリッシング 2024年4月刊 1,100円(税込) 142P
もう30年も前のこと、所ジョージさんの大ファンになったことがある。
今も続いている日テレの「笑ってコラえて」はもちろん、当時ニッポン放送系で放送していたラジオ番組『日曜夕方トコロのココロえ』(1995年4月~2000年3月)も欠かさずMDに録音して聞いていた。
所ジョージさんの歌がヒットチャートに乗ることはなかったが、1997年に発売された「ブタとダイヤモンド」というアルバムに収録されている「ポークストレイツ」は、我が家の中で大ヒットしたものだ。
いっしょにハマってくれたカミさんと2人で、歌詞の中に出てくる「ボーク」にちなんだ場所を訪ねる「聖地巡礼」に行ってみたこともある。
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