佐久間宣行のインプット&アウトプット

雑誌:SWITCH VOL.42 NO.5 (2024 MAY.)
出版社:スイッチ・パブリッシング  2024年4月刊  1,100円(税込)  142P


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もう30年も前のこと、所ジョージさんの大ファンになったことがある。

今も続いている日テレの「笑ってコラえて」はもちろん、当時ニッポン放送系で放送していたラジオ番組『日曜夕方トコロのココロえ』(1995年4月~2000年3月)も欠かさずMDに録音して聞いていた。

所ジョージさんの歌がヒットチャートに乗ることはなかったが、1997年に発売された「ブタとダイヤモンド」というアルバムに収録されている「ポークストレイツ」は、我が家の中で大ヒットしたものだ。

いっしょにハマってくれたカミさんと2人で、歌詞の中に出てくる「ボーク」にちなんだ場所を訪ねる「聖地巡礼」に行ってみたこともある。

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アンビシャス

副題:北海道にボールパークを創った男たち
著者:鈴木 忠平  出版社:文藝春秋  2023年3月刊  1,980円(税込)  293P


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NHKで4月6日(土)から「新プロジェクトX」の放送が始まった。


18年前に終了した「プロジェクトX」が日本の産業史・現代史に残るプロジェクトを取り上げたのに対し、新シリーズではバブル崩壊以降の「失われた時代」のプロジェクトを取り上げる、とのこと。


要は「昭和」から「平成」にフォーカスを移したらしい。


前シリーズを毎回楽しみに見ていたので、初回の
東京スカイツリー 天空の大工事 ~世界一の電波塔建設に挑む~」
を見た。


前シリーズ同様、光が当たらなくてもひたむきな仕事に励んだ人々の挑戦のドラマに仕上がっていた。


本書『アンビシャス』を読み終えて、同じような感慨を覚えた。
テレビ映像と書籍という違いはあるが、『アンビシャス』もまた、大事業を成しとげるためにねばり強く前にすすんだ球団職員の挑戦のドラマに仕上がっている。

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この父ありて

副題:娘たちの歳月
著者:梯 久美子  出版社:文藝春秋  2022年10月刊  1,980円(税込)  277P

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9人の女性作家の生涯をたどり、それぞれの父親との関わり方に注目して、人生と作品への父の影響を明らかにする評伝集である。

著者の梯(かけはし)氏が取りあげた9人の名前と肩書きは、次の通り。

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ストーナー

著者:ジョン・ウィリアムズ/著 東江一紀/訳  出版社:作品社  2014年9月刊  2,860円(税込)  333P


ストーナー    ご購入は、こちらから


アメリカの片田舎の貧しい農家に生まれ、大学の一教員として人生を終えた男の一生を描いた小説である。


主人公のウィリアム・ストーナーは1891年にミズーリ州の貧しい農家に生まれた。
農家の後を継ぐために新しい農業技術を習得してくるよう父に言われ、19歳のときミズーリ大学農学部に入学する。
しかし、2年生のとき、必修科目で受講した英文学の授業がストーナーの進路を変える。文学の魅力に惹かれ、専攻を文学に変更してしまったのだ。


卒業後に農家を継ぐことはなく、学位取得後、母校の常勤講師の職に就いた。
その後、英文学の研究と学生の指導にはげみ、結婚、助教授への昇進、長女の誕生という人生の節目を経験していく。


一見すると順調な経歴に見えないこともないが、大学では出世と縁遠く、教授に昇進することはなかった。また、心休まる家庭を作ることに失敗したストーナーは、職場でも家庭でも忍耐を重ね、65歳で病のため亡くなる。


身も蓋もない言い方をすると、うだつの上がらない大学教員が悲しい不幸な生涯を送った様子を淡々と描いた小説である。

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犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム

著者:石黒謙吾/文・写真  出版社:光文社  2023年9月刊  1,760円(税込)  159P


犬が看取り、猫がおくる、しあわせのホーム (学芸書・ノンフィクション)    ご購入は、こちらから

NHKが不定期で放送している「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」という番組がある。

「もの書く人の傍らにはいつも猫がいた。愛猫との異色ドキュメント」というネコ好きにグッとくる番組紹介に惹かれ、はじめて2023年9月18日「能町みね子と小町」の回を見た。

タイトル通り、ネコと過ごしながら作家として作品に向き合う日常を追う番組だ。

すっぴん(と思われる)能町さんがネコの傍らでキーボードを叩き、「結婚と称した同居生活」を送っているパートナーと並んで食事をしている映像は、同じNHKの密着ドキュメント番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」とは違って、ゆったりした時間が流れていた。

「いい番組を見つけた。次回は誰だろう……」と楽しみにしていたのが、9月25日放送回の「石黒謙吾とコウハイ」である。

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我々はどこから来て、今どこにいるのか?

書名:我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上
副題:アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか
著者:エマニュエル・トッド 堀茂樹/訳  出版社:文藝春秋  2022年10月刊  2,420円(税込)  380P


我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上 アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか    ご購入は、こちらから


書名:我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下
副題:民主主義の野蛮な起源
著者:エマニュエル・トッド 堀茂樹/訳  出版社:文藝春秋  2022年10月刊  2,420円(税込)  316P


我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下 民主主義の野蛮な起源    ご購入は、こちらから


本書は、家族、宗教、教育に着目して人類の歴史を辿ろうとする大著である。


著者のエマニュエル・トッド氏はフランスの歴史人口学者。
まだソビエト連邦が大きな力を持っていた1976年に、乳児死亡率が上昇しているという兆候をとらえてソ連の崩壊を予告した。
その後も米国発の金融危機アラブの春などを次々に予言したことで知られている。


そのトッド氏の研究の集大成といえるのが本書である。

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ある行旅死亡人の物語

著者:武田惇志 伊藤亜衣  出版社:毎日新聞出版  2022年11月刊  1,760円(税込)  214P


ある行旅死亡人の物語    ご購入は、こちらから


行旅死亡人」という耳慣れない言葉は法律用語で、「こうりょしぼうにん」と読む。旅行中に死亡した人、と勘違いしそうだが、実際は「身元不明で引き取り手のいない遺体」という意味だ。


著者は2人とも共同通信社会部の記者。


遊軍記者として何か記事になるネタはないかと探していて、残されたお金の金額ランキング1位の行旅死亡人に目を付けたのだ。


ちなみに遊軍記者というのは、「裁判担当」とか「警察担当」(俗に言う“サツマワリ”)のように担当する記者クラブが決まっておらず、自分でネタを探して記事を書く記者である。
武田記者は裁判担当から、伊藤記者は警察担当から、それぞれ1ヶ月に遊軍担当に異動したばかりだった。


官報に載るということはまだ身元が分かっていないということなのだが、この女性「行旅死亡人」には残されたお金が3千4百万円もあった。


「相続財産管理人」に選任された弁護士に連絡して訪問のアポをとったとき、弁護士は、

「この事件はかなり面白いですよ」

と言った。

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