著者:天野 敦之 出版社:日本実業出版社 2008年9月刊 \1,365(税込) 190P
はたらく意味について、幸せについて、考えさせられるビジネス・ストーリーです。
最初におことわりしておきますが、この物語の登場人物は、主人公クマ太郎のほか、サル吾郎、コン吉、トラ助、ヒョウ吉などすべて動物の名前です。
ビジネスの世界に似つかわしくないような“鳥獣戯画”的な登場人物ですが、やはり、名前が示す動物を思い浮かべて、それぞれの登場人物の性格を想像するものです。
主人公のクマ太郎は、銀行をかけずり回って困り果てている姿から、はじめはクマのプーさんのような優しい印象を抱いていたのですが、そのうち社員を責めたり怒鳴りつけたりする攻撃的な性格をむき出しにしてきました。イライラして壁を蹴ったりもします。
この気性の荒いクマさん。どうもヒグマ系だなあ……。
では、ストーリーに入りましょう。
ここは、ある温泉街の「クマの湯ホテル&リゾート」というリゾートホテル。父親が過労で急逝したため、大手企業に勤めていた息子が後継者として社長に就任しました。
MBAを取得している新社長のクマ太郎は、ビジネススクールで学んだ最新の経営手法を次々と取り入れますが、ほとんど機能しません。
業績は落ち、客数は減り、リストラの影響で残った社員の士気が落ち……。赤字続きのクマの湯ホテル&リゾートはいつ倒産してもおかしくない状態です。
悩むクマ太郎は、ある事件をきっかけに「そうか」と、いままでの考え方を180度変えてしまうような「真理」に気づきます。
クマ太郎が会得した「真理」とは何か。
その後、どうやって社員を幸せにする会社を作りあげてゆくのか。
詳しくは、本書をお読みください。
(いつもながらネタばらし禁止でゴメンナサイ)
やはりすぐれた物語は、読者の心にビジネスで大切なこと、人生で大切なことをスーッとしみこませる力がありますね。
本書の帯で「さおだけ屋」の山田真哉さんは
「この本は北極星ですね。
迷ったときはクマ太郎に向かって歩き出します」
と推薦しておられますし、福島正伸さんも、
「ビジネスの真髄を誰にでもわかる物語にまとめたヤバイ本」
と絶賛しておられます。
本書を読みおわると、「しあわせな会社」のあるべき姿のイメージが湧いてきて、まだ自分の会社が「しあわせな会社」になっていないのに、少し心が「ポッ」と暖かくなったように感じます。
心の懐炉としてお試しください。