4コマ漫画式 元気が出る仕事術


著者:井上 浩平 著  出版社:あおば出版  2006年7月刊  \1,000(税込)  182P


4コマ漫画式 元気が出る仕事術


先日のブログに書いたように、はじめて書評依頼を受けました。
喜んでお引き受けします、とメールしたところ、すぐに著者から本が送られてきましたよ。


本を手にして、ちょっと笑ってしまったのは、水色の帯に見える部分が実際には帯ではないところ。帯に見えるように印刷してあるのです。きっと、これで印刷費用を下げられるのでしょう。
やるなー、あおば出版


さて、本書は、ビジネスマンを元気にしたい! という著者の思いを形にした本で、「楽しく仕事をする」とか「仕事に疲れた自分を元気にする」ためのヒントがたくさんつまっています。
「4コマ漫画」 + 「楽しく仕事をするための解説文」というパターンが全部で71個。各章のおわりに、著者自身の体験を散りばめたエッセイも掲載されていますよ。
著者は「自己過大評価型」の性格をしている、と判定されたことがあるほどのポジティブな人。世の中の半分の人ができる、と聞くと、じゃ自分もできる、と思うタイプ。お菓子を半分食べた時に「まだ半分あるゾ」と考えるタイプです。
もし、あなたが、お菓子を半分食べた時に、「もう半分しかない」と思ってしまうタイプなら、著者の繰り出すアドバイスの数々が刺激になるかもしれません。手に取ってみてはいかがでしょうか。
ただし、立ち読みはいけません。タダで手に入れたものは身に付かない、という法則があります。身銭を切ったほうが自分のためになりますよ。と、著者が「はじめに」に書いていましたよ(笑)。


さて、著者は私あてのメールに、「つまらないと思えばそのように書いていただいて結構です」と書いておられました。
いさぎよい著者の期待通り、少しダメ出しもさせてもらいましょうね。
まず、マンガ。
ギャグの切れ味が悪いものも散見されますよ。3コマ目に「落ち」があり、4コマ目にもまた「落ち」がある、なんていう作品(P28)は、笑うに笑えません。
また、マエカワ常務という登場人物の顔が、正面と側面で違って見えます。正面から見るといい人そうなんですが、横から見るとマユがつり上がった顔に変わっていて、ちょっと怒りっぽい性格に見えます。小島功の描いたカッパの顔じゃないんですから、もう少し、登場人物のキャラ立ちを工夫してほしいものです。
また、マンガと文章が結びついていないところも、ところどころ目につきました。ちょっと残念。
次の機会には、改良してくださいね。
(あまり苦言を呈することに慣れていないので、このくらいにしておきます)


それにしても、会社勤めを本業にしている人が出版社から本を出すというのは、たいしたものです。
もともと、仕事の合間に作っていた趣味のホームページがWEBサイトを制作する仕事につながり、趣味で描き出した漫画が注目されて今回出版されることになりました。
いずれも、著者自身がちょっとした工夫やチャレンジで活動範囲を広げてきた結果です。いろいろなことに手をつけて、それが良い方向に向いた、という実例が本書の一番の魅力かもしれません。


本を出すことが決まったあとも、自分自身で一生懸命プロモーションに励んでいます。
私のようなマイナーな書評家にコンタクトするのも頭が下がりますが、『週末起業』著者のあの藤井孝一さんの読者5万人のメルマガに取りあげられていたのにはビックリしました。(『ビジネス選書&サマリー』2006/06/23号の「昨日、読んだ本」コーナー)
いったい、どんなアプローチをしたんでしょう。


こんな積極的な著者です。今後の活躍に注目しましょう。