9タイプ・コーチング


副題:部下は9つの人格に分けられる
著者:安村 明史  出版社:PHP研究所  2006年3月刊  \1,260(税込)  251P


9タイプ・コーチング―部下は9つの人格に分けられる


世の中にはいろんな人がいますから、同じ話をしても、受け取り方がちょっとずつ違います。「頑張れよ」の一言が、ある人にはよい励ましになるのに、別の人にはプレッシャーになってしまって実力を発揮できなくなる。ならば、相手に合わせて部下を指導しましょう、というのが本書です。


相手に合わせて、とはいうものの、あらゆる人を相手にぴったりした対応をするのは凡人には不可能です。何種類かに分類できるのが望ましいですね。
では、いくつに分類できるのか?
2種類、というのは論外。
人間を4つに分類する血液型人間学というのがありますが、合コンの話題ならともかく、ちょっと大ざっぱ過ぎますね。
本書は、人の気質を9種類に分け(エニアグラム)、相手の気質に従った指導を行う(コーチング)する方法を書いた本です。「コーチング」は最近よく聞く言葉ですが、「エニアグラム」は初めて聞く方が多いと思います。それもそのはず、著者が商標登録して、これから広めようとしている言葉なのですから。


本書では、9つのタイプを、次のように分かりやすいキャラクタに代表させています。
   タイプ1 完全でありたい人 ⇒ 星一徹
   タイプ2 人の助けになりたい人 ⇒ ドラえもん
     ・
     ・
   タイプ9 調和と平和を願う人 ⇒ ドカベン


タイプ別に、部下との理想的なコーチング会話例が載っていますので、「いるいる、こんなタイプの人」とエニアグラムの人間観を理解しながら、相手に相応しい対応のしかたを学ぶことができます。
特に、このタイプの人に言ってはいけない「NGワード」、というのは勉強になります。
タイプ1の星一徹のような人へ、「あなたは堕落している。欠陥がある。よこしまである」と言ってはいけない。「完全でありたい人」にこんな言葉をかけると、その後、全く心を開いてくれなくなります。こんなことを言われれば、他のタイプの人だっていい気持ちはしないと思いますが、このタイプの人は、このNGワードに深くふかーく傷つくそうなのです。


ところで、本書のタイトルの一部に「コーチング」という言葉を用いていますが、実は、著者はコーチングは日本の風土に合っていない、と考えているとか。
アメリカ人の体質は、常に自らの目標を定め、自らの人生に強い責任を持つように小さい頃から教えられてきて育ったもので、日本人のように、他の人にゴールを設定してもらう教育を受けてきた人たちには、アメリカ式コーチングは不向きなのです。
   今、日本人に必要なことは、目標よりも「課題」に焦点をあてること
とのこと。


本書は9タイプでしたが、かたや神田昌則氏も活用されている3タイプのコミュニケーション手法なんかもネットで目にします。
さあ、エニアグラム的人間観は普及するでしょうか?
先物買いにいいかもしれません。