会議でヒーローになれる人、バカに見られる人


2005年12月刊  著者:吉岡 英幸  出版社:技術評論社  \1,449(税込)  221P


会議でヒーローになれる人、 バカに見られる人


ファシリテーター(仕切りのプロ)を本業とする著者が、会議でトクをするために心得ておくべきことを面白おかしく教えてくれる本です。
冒頭に、いかに会議が重要であるかを示して、「仕事は現場でやるものではない、会議室でやるものだ」という警句を発しています。いわずもがなですが、映画『躍る捜査線 THE MOVIE』で、主人公の青島刑事が言った「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」のセリフを借りて、逆の主張をしています。
会議室こそ仕事の内容や役割分担を決定する重要な場だ。だから損な役回りを押し付けられたりしないように会議でうまく立ち回るべきだ。というのが本書のスタートなのです。


著者に言わせると、会議における結論は、会議が始まる時点で80%は決まっています。あなたが会議を主催するその場で一番エライ人なら本書を読む必要はありません。本書は仕切られ役のあなたにこそ伝授したいノウハウが山盛り、とのこと。
同じ仕切られ役でも、エライ人に近い意見を持っていたり、説得力や人望があれば問題はありません。しかし、自分の意見もなく、説得力も人望もなく、頭のキレにも自信がない、という一番ひどい状態で会議に出るハメになることもあります。こんなときは、じっと黙って会議をやりすごしたいものです。しかし、そうしているとバカに見られる。なんとかバカに見られないことをめざそう。と著者は言います。
ノウハウ本の目的が「せめてバカに見られないことをめざそう」とは……。思わず笑ってしまいましたが、本書にはこんなふうな冗談とも本気ともつかない主張が、2ページに1箇所は載っています。


なかでも、会議のじゃまをする人々を「ギロン戦隊ジューレンジャー」と命名した第2章は、もうギャグの連続。
  ・ナガインジャー
  ・メダツンジャー
  ・ツツクンジャー
  ・トブンジャー
  ・ムクレンジャー
  ・マキコムンジャー
  ・ダマルンジャー
  ・スベルンジャー
  ・カシコインジャー
  ・シキルンジャー
ねっ。何となく名前を聞いただけで、「いるいる。そんなヤツ」と思い当たるでしょ。


笑いながら読み終わると、なんだか会議の主導権の取り方が身についたような気がする。そんな本です。
けっこうお薦め。