メモ取り・手帳術が面白いほど身につく本


副題:知りたいことがすぐわかる  豊富な図解でポイントすっきり
著者:松山 真之助著  出版社:中経出版  2006年12月刊  \1,155(税込)  158P


メモ取り・手帳術が面白いほど身につく本 (知りたいことがすぐわかる!)


私のメンター松山さんの新刊です。
松山さん5冊目の本書は、メモ・手帳を活用して仕事力をアップする方法、さらに、目標を明確にして夢に向かって着実に行動する具体的方法が書かれています。


本書は、まず、メモ・手帳の効用って何でしょう、という基本の確認からはじまります。
5つの効用のうち、私は「メモは自分と相手のために取る」という項目が印象に残りました。自分が忘れないようにメモ書きしていることが、相手の話をしっかり聞いていますよ、というメッセージにもなるというのです。


なるほど、なるほど。


次に、メモをうまく活用することによって仕事のしかたも変わってくるという実例を挙げています。なかには「感謝メモ」のように、職場の雰囲気をよくするアイデアも含まれていて、これが松山さんらしいところです。
松山さんにお会いしていて不思議なのは、大企業のマネージャという威圧感を少しも感じないことです。きっと、部下を管理する、命令する、という発想で仕事をしていない方なのでしょう。
むしろ、気持ちよく働いてもらうにはどうすれば良いか、人と人を気持ちよく結びつけるにはどうすればよいか、ということをいつも考えているからこそ、こういう発想が涌くのでしょうね。


目次を見ると「ドリームマンダラート」「ビジョンツリー」「マインドマップ」など、はじめて聞く道具の名前も出てきますが、サービス精神あふれる松山さんが分かりやすく説明してくれます。
たとえば、「チェックリスト」の説明には、「もれなくダブりなく」というサブタイトルが付いています。この「もれなくダブりなく」というのは、実はマッキンゼー社が「MECE」と命名した問題分析を行う上で重要な考え方です。
しかし、本書に「MECE」という言葉はまったく出てきません。何の略かわからない「MECE」と言われるより、「もれなくダブりなく」のほうが断然わかりやすいのです。
この本を実用的に使ってもらおう、そのために少しでも分かりやすく表現しよう、という松山さんの配慮に違いありません。


本書には、36ヶ条のメモ・手帳術が載っています。
どこかで聞いたことのある手法も書かれていますが、本書のすごいところは、すべて松山さんご自身が試して改良した結果が書かれていること。
松山さんは、大手サービス企業の管理職を勤めながら、毎日1通の書評メルマガを発行し、大学の客員教授や非常勤講師も勤め、講演やコーチング活動と、八面六臂の活躍をしている方です。


時間を有効に使い、将来の夢(松山さんはMOSOと命名)を見える形で表現し、本当に夢を現実にしてしまう。そんな著者のノウハウを見逃す手はありません。
お値段も低めに設定してありますので、手元に置いて、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。
(いつもは「図書館で借りる」派の私も、今回は購入させていただきましたよ)


話はちょっとだけ変わりますが、テレビ東京の「カンブリア宮殿」12月4日の放送は、
  「仕事の達人たちの手帳術 手帳でビジネスに勝て!」
というタイトルでした。
ゲストに、『超手帳法』著者の野口悠紀雄氏、『佐々木かをりの手帳術』著者の佐々木かをり氏を招き、主にスケジュール管理のノウハウを紹介していました。


野口さんも佐々木さんも、数週間分のスケジュールを分単位で記入し、一覧できる方式を推奨しておられます。雑事に割かれる時間が多いことがわかり、空いた時間の総量が一目で見えるのが利点とのことでした。


以前、野口さんの『超整理法』を読んだ時に感じたのですが、この方の薦める整理術、時間管理術は、野口さんには有効と思うのですが、他の人にどれだけ有効なんでしょう。大学教授で、教授会や講演会に追われながら原稿執筆の時間も捻出する、という“超”忙しい著者ならではのノウハウです。
もう少し時間に追われていない一般人には、一般人ならではの方法があると感じたのは、私だけではないと思います。


ちなみに、松山さんが本書で薦めておられるのは、「ウィークリーTODOリスト」が一番いい、一週間単位が鳥瞰できるといい、ということです。8週間さきまで見通す『超手帳法』とは違って、一般人の感覚にぴったりの現実的な提案のように感じました。


せっかくですので、私の手帳の使い方を書かせていただくと、先月までは見開き4ヶ月記入のスケジュール帳を使っていました。
『超手帳法』の8週間の上をいく、18週間を見通せます(笑)。1日あたりのスペースが限られていますので、せいぜい午前ひとつ、午後ひとつ予定を埋めると、それ以上記入することができません。
まあ、会議も出張も少なく、わりと長期の締め切りで資料を作ることの多い私の仕事には、ぴったりの分量でした。


でも、今年5月から職場が変わり、仕事の内容も変わり、出張も増えました。12月から使いはじめた来年用の手帳は、見開き1ヶ月の分量です。
以前より細かいスケジュール管理が必要になったものの、まだまだ、他の人と時間調整をする度合いが少ないですね。


とてもありがたいことです。たぶん……。