『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』 に行ってきました。


レオナルド・ダ・ヴィンチの直筆ノート「レスター手稿」が見られる、というので、六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーで開かれている『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』に行ってきました。


なんでもダ・ヴィンチの残した手稿のうち、唯一個人が所有しているのがこの「レスター手稿」だそうです。1994年にマイクロソフトビルゲイツが競り落としたとき、世界の財宝を買いあさっているという批判もありました。しかし、彼はできるだけ多くの人にダ・ヴィンチの偉業を知ってもらおうと、翌年にはまだ珍しかったCD−ROMで内容を公表しました。
更に、年に1度一般展示することにしたのですが、破損の恐れを回避するためか1回の公開は1ヶ国(1箇所?)だけです。これを逃すと一生現物を見られない、と思うと、どうしても見たくなり、出かけてみたのです。


ダ・ヴィンチの手稿は文字を左右逆にした「鏡文字」が有名です。拡大写真を鏡に映して見せてくれるコーナーもあったのですが、原文はラテン語でしょうから、鏡に映っても私には読めません。現物コーナーの展示室は明かりを落として暗ーくしてあり、全部で18枚の紙の裏表に定期的に薄灯りがともっています。私も他の観覧者と同様にあちこち移動しながら、人体、宇宙、流体力学天文学に関するダ・ヴィンチの覚書きを食い入るように見つめてきました。
思ったより図面も少なく、見ようによっては解読不能の文字で綴られた単なるメモですが、「これが約500年前にダ・ヴィンチが書いた現物かぁ」という感慨が湧いてきます。美術品を見るというよりは、博物館で恐竜の骨を見る感覚に近いですね。


むしろ圧倒されたのは、各地に散在するダ・ヴィンチの他の手稿のレプリカ(ファクシミリ版と言うのだそうです)を展示してあったコーナーです。手帳サイズの小さく軽いものからB2くらいの大きさでずっしりと分厚いものまで、文字通り山のように積まれている手稿を見ると、ダ・ヴィンチの仕事の多さ、現存している資料の多さに圧倒されました。


余談になりますが、初めて訪れた六本木ヒルズは、なんだかモダンすぎて分りにくい建物でした。ふつうのビルだとエスカレーターやエレベーターの場所が何となく分るのですが、ここは何がなんだか分りません。せっかく案内図を手にいれたのに、結局「私は、今どこにいるんでしょうか」「帰りのエレベーターはどっちですか」と警備員に質問ばかりしてしまいました。
こんな複雑な建物にオフィスを構えているホリエモン三木谷社長は、きっと私たち庶民とは違った神経をしているのでしょう。なんて八つ当たりしながら返ってきたら、地下鉄六本木駅が工事中でした。ボコボコした床の上を歩いていると、なんだか下界に帰ってきたようでホッとした気分になりますねぇ。