著者:浅田 次郎 出版社:毎日新聞出版 2017年12月刊 \1,620(税込) 377P
小説家浅田次郎氏の最新刊である。
本の内容に入る前に、今日は余談からスタートさせていただく。
続きを読む
副題:ニュースステーションはザ・ベストテンだった
著者:久米 宏 出版社:世界文化クリエイティブ 2017年9月刊 \1,728(税込) 337P
『ニュースステーション』や『ザ・ベストテン』の司会者を務めていた久米宏アナウンサーの書いた回顧録である。
TBSに入社し、アナウンサーの仕事をはじめてから50年という節目に、自分のアナウンサー人生をふり返り、嬉しかったこと、苦しかったこと、番組作りで工夫したこと等をサービス精神たっぷりに語っている。
続きを読む
副題:「黄金期」の教え
著者:山田 真哉 出版社:中央公論新社 2017年8月刊 \886(税込) 261P
副題は「『黄金期』の教え」だが、帯に「なぜ栄え、衰えたのか?」というキャッチコピーが大きく書いてある。
そう。本書は平成のビジネス書盛衰記! なのだ。
僕の書評はジャンルを問わず「ココロにしみる」という切り口でお届けしているので気づかなかったのだが、「ビジネス書」というジャンルは、2000年〜2010年頃までよく売れていて「黄金期」といっていい時代だったそうだ。
書籍・雑誌の売上高はご存じの通り、この20年下がり続けている。2016年にはピーク時(1996年)の45%まで下がっていて、出版業界は大変なことになっているのだ。
ところが、「経済」「経営」ジャンルの書籍は、1997年に推定発行部数1,206万部だったのが2002年に1,600万部を突破して、このジャンルだけ右肩上がりになる。勢いは約10年続き、2009年に1,752万冊のピークを迎えたあと下降期に入った。
同じ出版業界なのに、なぜビジネス書は2000年代によく売れたのか。そして、2010年代に失速してしまったのか。
「はじめに」で大きな問いをなげかけ、本書は第I部「書評編」に突入する。
続きを読む
著者:鈴木 信行 出版社:日経BP社 2017年3月刊 \1,512(税込) 357P
日経ビジネスオンラインの本書特設ページに、
「あっという間に7万部突破」
と載っている。
著者が村上春樹や又吉直樹だったら驚く数字ではないが、本の売れない昨今で「7万部」は「ベストセラー」と言っていい売れ行きだ。
これだけ売れると、「面白かった」という反響だけでなくクレームも多いらしく、この本の特設ページには、「題名だけで勘違いしている人」に向けて、「この本はそういう本じゃありませんからね〜」とお断り文を載せている。
このお断り文が結構おもしろいので、特設ページのQ&Aの内容を先に紹介する。
著者:増田 俊也 出版社:角川書店 2013年2月刊 \1,944(税込) 580P
著者の増田俊也氏は「このミステリーがすごい!」大賞の優秀賞受賞者で、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で世間の注目を集めた小説家、らしい。
あまりスポーツ系の本を読まない僕には縁のなかった作家だ。
なのに、この本を読むことになったのは、先輩から「おもしろいぞ〜」と勧められたからだ。
勧めてくれた先輩と僕は、大学2年生の時に出会った。
先輩は、格闘技が大好きで、プロレスの技の名前が会話の中にポンポン飛び出してくるような人だった。
卒業後に入社した会社にもその先輩は一足先に入社していて、同じソフトウェアプロジェクトに参加していたこともある。
3ヶ月前から、また同じオフィスで仕事するようになったその先輩から、「おい、浅沼。この本面白いぞー」と勧められたのが本書である。
もう40年以上の付き合いなのに、本を勧められたのは初めてだ。格闘技系の本は読んだことがないが、まずは読んでみることにした。
続きを読む
著者:斎藤 美奈子 出版社:岩波書店 2017年1月刊 \907(税込) 244P
著者の斎藤美奈子氏は、文芸評論家として多くの文芸評論や書評を書いている。
僕もブック・レビュアーを名乗っているので、「同業です」と言いたいところだが、活動量がまるで違っている。
もちろん出版した本の数は比べものにもならないが、驚くのは斎藤氏の読書量だ。
1本の書評に1冊の本だけ取り上げたりしない。
数冊から十数冊の書名をならべ、まとめて串刺しにしたり、1冊ずつさばいたりしながら1本の原稿に仕上げていく。
次から次と本を飲み込んでいく姿は、まるで大食いチャンピオンのようだ。
こっちが1杯のラーメンを味わっている間に、10杯も15杯もすごい勢いで飲み込んで消化していく。
人間離れした食欲に、あ然とするばかりだ。
今回の斎藤氏の食材、もとい題材は「文庫解説」。
単行本と違って、文庫本の巻末には解説が付いている。有名な作品は複数の出版社から文庫が出ているから、解説文も文庫の数だけ種類がある。
本書は、複数の版元から出版されている文庫本作品を取り上げ、解説文を読み比べる評論である。
続きを読む