著者:岡田 彰布 出版社:角川SSC新書 2008年11月刊 \798(税込) 175P
さらば愛しきタイガース!
辞任する本当の理由
「緊急出版!」
と帯に書いてあれば、プロ野球ファンなら誰しも手に取りたくなってしまう。
いい企画だ。
この時期に出版できたこと自体で、話題性は充分だろう。
じゃ、どんな岡田の本音が読めるんだろうか。
――いつも通り、今回もネタばらし無しとさせていただく。悪しからず。
せめて、興味を引く小見出しだけでも引用しておく。
「辞任を決意した瞬間」「原監督は面白いのか?」「野村監督との確執の真相」
「伝説のバックスクリーン3連発」「1985年の真実」「涙の退団」
「暗黒時代を糧に」「JFKはこうして生まれた」
ちなみに、章立ては次の通り。
第1章 常勝軍団への険しき道程
第2章 指揮官の心得
第3章 タイガース愛
第4章 先人から学んだこと
第5章 信念を貫く
本書から強く伝わってくるのは、阪神に対する岡田の「愛」だ。
監督を辞めても、フロントとの確執が噂されても、阪神に対する「愛」はゆるがない。ぶれない。地位やカネに執着しないぶん、阪神への頑固なまでの愛は貫いた。そう自負しているのがよく分かった。
個人的に面白かったのは、星野前監督や、野村前々監督の采配を岡田がどう感じていたか、ということだ。
プロ野球の監督には、いろいろなスタイルがあるものだ。
ただ、3人に共通していることが一つあった。
それは、「阪神の監督は、阪神ファンの重圧を受けとめなければならない」ということ。
ある意味、巨人の監督よりも重い責任を背負い込むこと。……らしい。