iPhoneショック


副題:ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり
著者:林 信行  出版社:日経BP社  2007年12月刊  \1,680(税込)  263P


IPHONEショック 購入する際は、こちらから


本の内容のまえに、すこし長めの余談からはじめさせていただきます。


去年の7月に初めての本『泣いて 笑って ホッとして…』を出したとき、メルマガやブログで紹介していただけるよう、多くの発行者さんにメールでお願いしました。
そのとき、大きな「N」のマークが目印のブログ「ネタフル」発行人コグレマサトさんにも「献本させてください」とメールをお送りしました。


少しでも印象に残るように、「コグレさんと僕の読書傾向が似ています」と、コグレさんのブログと自分のブログの両方に載っている書名をならべたり、絵本「ぐりとぐら」は我が家にも全部揃ってます、などと共通点を書きつらねました。


幸い、コグレさんは私の本をとりあげて下さり、本の内容紹介の前に、次のように、書いてくださいました。

  最初にメールを頂いた際に、印象に残りました。
  なぜ印象に残ったかというと、ネタフルの過去エントリーを読み、
  自分との共通点を送って下さったのです。故に、きっと興味の対象が
  似ているのではないかと。

  献本を頂くことはありますが、ここまで熱心に連絡を頂いたのは
  なかなかない経験でした。
  そういう情報を見ると、親近感がわくのですよね。
      (「ネタフル」2007年08月28日記事より


コグレさんに親近感を持っていただいた共通点は、他に2つあり、ひとつは、コグレさんも私もiPodのヘビーユーザであること。もうひとつは、携帯電話全盛のなか、コグレさんも私もPHSユーザであることです。
アルファブロガに親近感を持っていただいたのは、とても嬉しいことでしたが、新しいものに目がないコグレさんは、その後私を置いてどんどん先へ行ってしまいました。


まず、iPodの新機種「iPodタッチ」を購入し、画面にタッチする操作感の気持ちよさにしびれています。特に、Safari というブラウザの心地よさを絶賛していて、iPodタッチと同じ画面操作ができるiphoneが日本で発売されたら、きっとPHSウィルコム)から乗り換えると言っています。


そんなに画面タッチって気持ちいいの? iphoneってそんなにすごい電話機なの? と読んでみたのが今日の一冊『iPhoneショック』です。


余談が長くなりましたので、さっそく内容に入りましょう。


本書は、冒頭から「iPhoneでケータイビジネスが変わる」と、いままでの日本の携帯事業の常識をやぶる革新性に驚いています。iphoneが「非常識」といえるほど革新的なのは、スイッチが4つしかないというシンプルな設計と、画面タッチの心地よさなど、まず製品自体の使い勝手が突出しているからです。


使ってみてこれだけ気持ちよければ、少々高くても売れる。
しかも、4万円近い「iPodタッチ」に電話機能が付いたと思えば、5万円以上でもそんなに高い気がしないから不思議です。


この商品力を武器に、販売元のアップルは携帯電話会社と独占契約を結ぶ条件として、基本料の一部をアップルに“上納”するよう求めているそうです。
日本の携帯電話はキャリア(電話会社)主導で事業展開してきましたので、iPhoneのように電話機を作るメーカーに有利な契約ははじめての経験です。iPhoneが日本に上陸すると、各社のシェアが変動するだけでなく、業界の慣習が大きく変わるきっかけになるかもしれません。


本書第2部では、これほど魅力的な製品を生み出したアップルの歴史と企業風土を分析し、第3部では日本メーカーがiPhoneのように魅力的な電話機を作れなかった理由を推論しています。


全体的にiPhone礼賛が中心ですので、少し割り引いて読む必要もありそうです。


たとえば、日本の携帯産業がキャリア(電話会社)中心なので、メーカー側技術者がいくら良い提案をしても受け入れてもらえないことが続き、メーカー側に積極性がなくなった、との分析が載っています。
かと思えば、「それでも、キャリア内のほかの人間を説得したり、ほかのキャリアに提案したりするなど、できることはあるはずだ」と根拠のない楽観を述べ、メーカーの努力が足らないような言い方もしているのです。
どちらにしても、そんなに日本のキャリア(電話会社)やメーカーをけなさなくてもいいじゃないか、と反論したくなる箇所もありました。


ここで、注意をひとつ。
本書を読むと、「iPodタッチ」やiPhoneやアップルのパソコン(マック)が欲しくて欲しくてたまらなくなります。自制心に自信のない人は、ボーナスが出るまで手を伸ばさないほうがいいかもしれません(笑)。


本書から外れますが、コグレさんはその後もどんどん新しいものに手を出し、先日アップルから発売されたばかりの世界一の薄さを誇る新しいMacBookを購入していました。
その名は Apple MacBook Air といい、アマゾンで23万円です。(購入する際は、こちらから(汗)


流行の先端を追いかけるには、資金力が必要ですねえ。


私がこの1年でパソコンにかけた費用は、ノートパソコン修理用のディスク1万円と、バックアップ用230GBディスク1万円、中古のデスクトップパソコン3万円の合計5万円です。
それでも、原稿書きやipodのホストマシンとして不自由したことがなく、中古パソコンで間に合っています。ipodのディスクもまだ半分も使っていませんし、まだまだ使えます。


物欲に走らず、コンテンツ充実に努めることにしましょう(^_^;)。