映画「めがね」を見きてた

pyon32007-11-02



年に一度くらい映画を見ようと思って、前売り券を買うことがある。
ことしもちょっとマイナーな「めがね」の前売り券を買ったのはいいけれど、上映期間が残り少なくなってきた。幸い、今日は会社の変則休暇。今日こそ見るぞ! と、川崎のチネチッタに見に行ってきた。


平日の映画館というのは、こんなものなのか。他のメジャーな映画を含めて、客足はさっぱりだ。(たしか「映画の日」というのがあって、毎月1日は入場料金を半額にしていたはずなので、ひょっとすると昨日は映画ファンでにぎわっていたのかもしれない)
朝9時半の入場者数は、6人。こんなにすいているのに、そのうち3人が私と同じD列(前から4列目)に座っている。大きなスクリーンで見たいという気持ちは、みな同じなんだろう。


ふだん、テレビでドラマも映画も見ない僕だが、巨大スペクタクルの予告編がスクリーンに登場すると、「ああ、映画っていいなぁ」と単純に感嘆してしまう。どうせ見るなら、「めがね」なんていう地味な映画じゃない方が良かったかな、という考えが一瞬あたまをよぎった。


「めがね」は、観光地化されていない南の島を舞台にした、不思議な旅行者の話だ。もたいまさこが小さな空港からすーっと現れ、人の少ない海岸のかき氷売り場に行って、待っていた二人の地元の人とていねいにお辞儀を交わす。
同じ空港に小林聡美が降り立ち、大きなスーツケースをズルズルひきずって、予約していた民宿に到着する。
これで4人の主要な登場人物が出そろい、ゆったりした空気が流れるなか、起伏の少ない物語がゆっくりと展開される。


「かもめ食堂」と同じスタッフがツクッタ映画というだけあって、ゆったりすぎるほどのテンポ。こういう映画は、テレビで放映しても視聴者が我慢して着いてきてくれないかもしれない。巨大スペクタクル映画とは逆の意味で、映画館でしか見られない映画だ。


かもめ食堂」の映画の初日挨拶でもたいまさこは、「たる〜い映画です」と笑いを取っていたそうだが、「めがね」もやっぱり「たる〜い映画」。最後のほうで、ついつい居眠りしてしまったのは、この映画の正しい鑑賞方法だったと思う。


映画館へ見に来てよかった、と思える映画を見せてもらった。