ぬるい生活


著者:群ようこ  出版社:朝日新聞社  2006年8月刊  \1,260(税込)  220P


ぬるい生活


かつての著者は、とてもピシッとした人でした。


会社に勤めていた若い頃は完璧に何でもやろうと考えていましたし、仕事ができるという自負もありました。しかし、自分への自信がねじまがって、他人の欠点しか目につかなくなった時期があるそうです。
何とかして相手を見下す理由を見つけようとする。他人にはいわなくても、心の中で相手の欠点ばかりをあげつらう。そんな鼻持ちならない性格を自覚したとき、同時に自分の首も絞めていることに気づきました。


自分は完璧でないのを認め、やりたくないことはやりたくないと言い、疲れたときは「疲れた」と言う生活を目指すようになり、現在の著者はぬるい生活のまっただ中にいます。


なかなかココロによさそうな「ぬるい生活」が本書に綴られていますので、頑張りすぎない日々を送る方法を適度に指南してくれることを期待して読みはじめました。


いいですよ。ぬるーい生活。


たとえば、体重測定ダイエット。
著者は、NHKの情報番組で(たぶん、「ためしてガッテン」でしょう!)、運動をしなくてもよく、つらい食事制限もしなくていいダイエット法の紹介を目にします。
それは、ただ体重を測るだけというものです。
百グラム単位で記入できるグラフを作って、朝、晩の二回、体重を測って記入するだけ、という簡単な方法ですが、こんな簡単な方法で一ヶ月1キロから3キロ痩せたという実績も紹介していたとのこと。


さっそく著者が試したのは、言うまでもありません。
その結果は……。読んでのお楽しみ(笑)。


著者と一緒に、ぬるーい生活に浸らせてくれる本でしたが、ちょっと予定外だったのは、更年期の苦しさを書いた内容が多いことです。
ぬるい生活とは、同時に女性の体調の大転換点である更年期とも重なるものなのですね。体調不良、心の不調と折り合いを付けながら生活する様子は、同年代の女性にはとても参考になる内容なのでしょう。


そういえば、以前ご紹介した『かもめ食堂』も、ぬるーい雰囲気が漂っていました。出演した もたいまさこ は、映画の初日挨拶で「たる〜い映画です」と笑いを取っていたそうです。
「たるーい」とか「ぬるーい」とか、刺激が少ないものに囲まれて過ごす時期が人生にはきっと必要なんでしょうね。


無理をせず流れにまかせるって、心地よさそうですよ。