チョコレート工場の秘密


著者:ロアルド・ダール【著】  柳瀬 尚紀【訳】
出版社:評論社  2005年4月刊  \1,260(税込)  269P


チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)


朝日新聞で、翻訳が新しくなって親しみやすくなった、という内容の書評を読み、手に取ってみました。小学生向けの冒険小説です。


主人公のチャーリーは小学生。貧しい7人家族の一員なのですが、お父さんが失業して栄養状態が悪くなり、どんどん痩せてしまいます。
そんな時、チャーリーの住んでいる町にある大きなチョコレート工場が、限定5名を秘密の工場に招待するというニュースを耳にします。年に1度しかチョコレートを買ってもらえないチャーリーです。招待状の入ったチョコレートを手にするのは奇跡を待つしかなかったのですが……。


本書が原作になった映画がヒットし、DVDにもなっているそうです。チョコレート工場の中で繰り広げられる冒険は、ハリポタのファンなら夢中になるかもしれません。


ハリポタの第1巻で50ページにたどり着く前に挫折した私は、ついつい冒険話を読み飛ばしてしまいました。でも、翻訳を担当した柳瀬氏の「訳者から」というあとがきは興味深く読ませていただきましたよ。
ストーリーも面白いがこの作品は言葉も面白い、と柳瀬氏は言います。例として登場人物の名前について、次のように解説してくれました。


たとえば主人公は英語で Charlie Bucket という名前です。これをチャーリー・バケットと単にカタカナにしただけでは、ちゃんと翻訳したことになりません。
なぜかといえば、Bucket というのは水を汲むあのバケツのこと。苗字がバケツなんていう変な名前はイギリスの電話帳を調べても載っていません。それを「バケット」と翻訳してしまうと、そのヘンな感じが伝わらない。だからチャーリー・バケツ君でなくてはならない、とのこと。


他の登場人物も、著者が工夫した意図を汲み取り、テレビが大好きな男の子は「マイク・テレヴィズキー」、ガムを何時間も噛んでいるのをジマンしている女の子は「バイオレット・アゴストロング」、などなど。


原書と見比べながら読むと、もっと楽しめるかもしれません。(私はトライしかねますが……)