モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語


2002年10月刊  著者:ジョージア・ビング 三好 一美(訳)
出版社:早川書房  価格:\1,890(税込)  444P


モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語 (ハリネズミの本箱)


訳者は「読みおえた人は決して他の人に粗筋を話してはいけない!!」と書いています。

さあ困った。何を紹介したらいいのでしょう。


では、訳者自身のお言葉はどうでしょうか。
   児童書というジャンルではくくれないほど盛りだくさんの友情と
   冒険、スリルとサスペンス、エンターテインメント、そしてテク
   ノロジーをスパイスに利かせた質の高いミステリ仕立ての本書は、
   オランダを皮切りに、25カ国以上で翻訳出版されることがすで
   に決定しているそうです。(ホームページによると、現在30カ
   国まで増えており、ハリウッドで映画化も決定している話題作で
   す)
もうひとつ、裏表紙のひとこと。
   不細工だってへっちゃら! 小さな催眠術師の大冒険
   孤児院で、いつもいじめられてばかりのみなしご少女モリー・ムー
   ン。ある日、偶然に図書館で出会った一冊の古めかしい本が、モ
   リーの人並み外れた<催眠術>の力を花開かせた。めくるめく冒
   険の数々。しかしそこには思わぬ落とし穴が……英国で出版前か
   ら大きな話題を呼んだ“女の子版ハリー・ポッター
あとは、本の体裁を紹介。
B6判で400ページ以上ありますから、けっこう重いくて読み応えのある分量です。(キッチン用の計量器に乗せてみたら500gを超えてしまいました)
難しそうな言葉もどんどん出てきますが、ほとんどの漢字にはルビがふってあります。ジェットコースターのような物語展開で、きっと小学生でも一気に読んでしまうでしょう。


モリー・ムーンホームページでプロフィールを見ると、訳者の三好さんは、本業、翻訳業の他にNPOで起業家育成支援のボランティアもされているエネルギッシュな方です。本書の翻訳によって孤児院の悲惨な状況を知り、児童養護施設と交流を行うよになったそうです。
昨年11月には、「子どもを本嫌いにする9つの方法」のひげうさぎ先生や「Webook of the Day」の松山真之助さん等から託された本を持って、新潟中越地震で避難生活を続けている山古志村の子どもたちを訪問しています。(詳しくはこちらを参照ください)

三好さんの活動を拝見すると、私が子どもの頃に交流していただいた方たちのことを思い出します。
一組は、同じ町の青年団有志です。へき地に住む子供たちを励ましてあげようと、学校を訪問して交流会を開いてくれました。全校生徒が15人しかいないのに、お兄さんお姉さんが20人以上来てくれました。歌やゲームをして楽しいひと時を一緒にすごしたことは忘れられません。
もう一組は遠くから様々な援助をしてくれた篤志家の方です。
北海道全域が深刻な冷害に見舞われた際、私の地元の被害状況がテレビで紹介され、すぐに全国から救援物資が送られてくるという反応がありました。多くが一時的な援助で終わった中で、150キロ遠方の旭川市でお菓子屋を営んでいる北口さんという方が継続的に学校に贈り物をしてくれました。
2月には雛人形、4月にはこいのぼり、11月にはクリスマスツリーが送られてきます。しかも、最初の年にお内裏様とお雛様、翌年は三人官女、3年目に五人囃子と、少しずつ続けてくれるのです。
毎月1冊ずつ贈っていただいた「少年少女世界の名作文学」は全50巻です。4年以上継続いただいた感謝を込めて「北口文庫」と名付けられました。
その北口さん一家が私達の学校を訪問されたことがあります。ドキドキしながら到着を待っていると、やさしそうなおじさん・おばさんと、小学生のお嬢さん二人がライトバン(今はツーリングワゴンと言いますね)で到着。全校あげて準備をした歓迎会の来賓席にお迎えし、一生懸命に歌を披露したことを思い出します。

三好さんが交流している児童養護施設山古志村の子どもたちの心にもきっと強い印象が残り、大人になっても感謝の気持ちを忘れないことと思います。


この児童向けの本を手に取ったのは、もうすぐ4歳になるわが子に読んであげる本を探していたからです。「ねぇ、読んで読んでー」と娘が持ってくるのは絵本ばかりですが、もうすぐ少し長い物語も理解できるようになるだろう。そうしたら……、と思っていた時に、メルマガ読者からこの本を推薦されました。
実際に読んでみると、小学校4年生くらいにならないとちょっと難しいかなー、という内容で、少し早かったです。でも、あと5〜6年経ったら映画もヒットしてメジャーになっているかもしれません。ちょっと先物買いということで……。