お金がグングン貯まる3原則


カリスマ公認会計士が教える収入に合わせてお金がグングン貯まる3原則
副題:幸せな家計キャッシュフロープロジェクト
2005年3月刊  著者:天野 隆  出版社:明日香出版社  価格:\1,575(税込)  248P


カリスマ公認会計士が教える収入に合わせてお金がグングン貯まる3原則 幸せな家計キャッシュフロープロジェクト (アスカビジネス)


タイトルがロコツです。
電車で読んでいて、思わず表紙カバーが欲しくなるほど恥ずかしいです。新聞広告で見かけても、書店で平積みしていても、私なら絶対に手に取らないタイプの本ですが、Webookの松山真之介さんが「タイトルより2倍面白い」と絶賛しているので、半信半疑で読んでみました。
読んでよかったです。
「2倍面白い」どころか、感動さえ覚えました。いい本を紹介していただいた松山さんにまた感謝です。


本書は3部構成になっています。
第1部は、なぜ収入のわりにお金が増えないのか、という疑問をキーにして、「支出をあきらかにしましょう」「借金に気をつけましょう」「テレビを消してリッチになりましょう」と、主に支出をコントロールするワザを伝授します。
第2部は、収入を増やすためには仕事がデキル人間になることが必要。そのための方法として、仕事をすばやく終わらせる「終着駅からメソッド」、実務能力を身につける「知恵袋メソッド」、仕事を面白くする「ありがとうメソッド」を提案します。
第3部は、お金の達人の考え方を紹介し、「与える喜びを知りましょう」、「天を見て進んでいきましょう」などの悟りの境地を語ります。
第1部ではお金に関する悩みに答えていますが、第2部では仕事の進め方に話題が移り、第3部ではお金の執着を離れ、生きがいや使命感にまで話題が及んでいます。


中島敦の書いた「名人伝」という童話に登場する弓の名人は、マトに的中する技術を磨きに磨いて名人の域に達しました。とうとう弓を用いない境地に達して、弓を見て「そこにある道具は何ですか」と尋ねたといいます。
本書の第3部に登場する達人の教えを読んでいると、お金にアクセクするのが恥ずかしくなってしまいそうです。本書のタイトルは「収入に関係なく幸せになる方法」が相応しいように思いました。
でも、本当に「お金をグングン貯めたい」「お金持ちになりたい」と思って本書を買った人はガッカリでしょうねぇ。きっと編集部の「売らんかな」という姿勢が強すぎたのです。


私自身が本書で感心・感動したのは、次の2点です。


その1。
仕事の中で感じたこと・気付いたことをメモっておくと、自分のノウハウを整理するのに役立つ、ということ。船井総研の船井社長から「一日終わったときに気が付いたことを必ずメモする」というアドバイスをもらったのをきっかけに、著者自身が10年も「天野メモ」を続けています。
このメモは「知恵袋」の効果があり、これをやった人は実務が身につくそうです。私もやってみようかなぁ。


その2。
自分の人生哲学を深めるためには、自分の仕事・人生を振り返ることが大切、ということ。「そうだったなあ、あのときにあの人の出会いがあったなあ。そうだった、あの頃あんな迷惑をかけてしまった。そうだったなあ……」と自分の過去を見て行くと、ふと、自分の志に近づくというのです。なぜなら、志とは発見するものではなくて、もう「そこにある」ものだから。
「私たちはひょっとして、この世に生まれてくる時に、こんな人生を歩もうと思ってどこからか持ってくるのではないでしょうか」という著者の言葉を読んで、思わず肌が粟立ちました。「お金がグングン貯まる」なんていうタイトルの本を読んで、生まれてきた意味について考える一文に出会うとは……。


お金がグングン貯まりそう、とは思いませんでしたが、満足感のある本当にいい本を読ませてもらいました。
お薦めです!