母の待つ里

1年9ヶ月ぶりのブログ更新です。


長いことお休みしましたので、調子がもどってくるまで時間がかかるかもしれません。
温かく見守っていただければ幸いです。


よろしくお願いします。


書名:母の待つ里
著者:浅田次郎  出版社:新潮社  2022年1月刊  1,760円(税込)  297P


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希代のストーリーテラーとして知られる浅田次郎の5年ぶりの現代小説。


大企業の社長である松永徹が東北の寒村に向かう場面から本書は始まる。


新幹線から在来線に乗りついで1時間。
閑散とした駅前でバスに乗りかえてさらに40分。


小さな市街地を抜け、田園地帯となだらかな丘を越え、小さなみずうみを過ぎた先にある橋のたもとの停留所で松永は降りた。

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人生論あなたは酢ダコが好きか嫌いか

副題:女二人の手紙のやりとり
著者:佐藤愛子小島慶子  出版社:小学館  2020年5月刊  1,100円(税込)  189P


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「父祖伝来の乱暴者の血を受け継いだ」佐藤愛子氏と「生眞面目さと無邪気さが同居」している小島慶子氏の往復書簡集である。

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出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記

副題:こうして私は職業的な「死」を迎えた
著者:宮崎 伸治  出版社:三五館シンシャ  2020年12月刊  1,540円(税込)  246P


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新聞に載っている出版広告でいつも目につく広告がある。


なんだかトホホな感じのイラストと、「ヨレヨレ日記」だの「ヘトヘト日記」だのトホホなタイトル。
最初に見たのは『交通誘導員ヨレヨレ日記』だったが、そのうち『派遣添乗員ヘトヘト日記』とか、『マンション管理員オロオロ日記』のような、テレワークとは縁のない職業の著者が続く。


なかには不思議なオノマトペが登場する『メーター検針員テゲテゲ日記』という題名もあり、「テゲテゲって何?」とツッコミたくなる。
よく売れたので、きっとシリーズ化したのだろう。


見ているうちに脳ミソに刷り込まれたに違いない。『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』の広告を見たとき、とうとう「ポチッとな」してしまった。

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10代から知っておきたい あなたを閉じこめる「ずるい言葉」

著者:森山 至貴  出版社:WAVE出版  2020年8月刊  1,540円(税込)  208P


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ざっくり要約すると、「10代の若者向けに、マウンティングに負けない方法を教える指南書」である。
10代向けに読みやすい内容と構成に仕上がっているが、「ずるい言葉」を言う人の心理分析がみごとで、大人が読んでも一つひとつ考えさせられる内容だった。

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人新世の「資本論」

著者:斎藤幸平  出版社:集英社  2020年9月刊  1,122円(税込)  375P


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人類の環境破壊がひどくなって、気候変動が取り返しのつかない事態に近づいている。
この危機を乗りこえるためには、晩年のマルクスが考えていたように、資本主義に立ち向かって「脱成長コミュニズム」を実現するしかない! あなたも立ち上がろう!
というのが本書の主題である。


なんともぶっ飛んだ主張である。


読者を驚かせる内容であることは著者自身もよく分かっていて、
本書の「おわりに」にも、

マルクスで脱成長なんて正気か――。そういう批判の矢が四方八方から飛んでくることを覚悟のうえで、本書の執筆は始まった。

と書いている。

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はんぶんのユウジと

著者:壇 蜜  出版社:文藝春秋  2019年10月刊  1,595円(税込)  185P


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蒲田健というラジオパーソナリティをご存知だろうか。


1966年東京都出身で、現在53歳。
低音のナイスボイスでいろいろなスポーツイベントの会場MCやDJを務めている。


去年のラグビーワールドカップでも、にわかラグビーファンの一人として南アフリカイングランドの決勝戦をテレビ観戦していたら、実況音声から蒲田健の声が聞こえてビックリした。
会場MCを担当していたらしい。


その蒲田健が本の著者にインタビューする「ラジオ版学問ノススメ」というFM放送の番組がある。

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「2019年のオススメ本はこれだ!」イベントに参加しました

TBSラジオで2ヶ月に一度日曜の深夜に放送している「文化系トークラジオ Life」というラジオ番組があります。


社会学者の鈴木謙介氏(愛称「チャーリー」)が司会を務め、

「マイルドヤンキー限界論」
「超絶!ポエム化社会」
「勉強し続ける社会」

などの社会時評サブカルチャーに関した話題を批評家、ライター、編集者、哲学者、ジャーナリストなどのゲストたちが議論する番組です。

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