著者:清水義範/文 西原理恵子/え
出版社:講談社 2007年4月刊 \1,575(税込) 374P
家族に不幸があったため、しばらく更新をお休みしていました。
ぼちぼち再開します。
かつて教科書シリーズでコンビを組んだ清水ハカセとサイバラの新機軸。
清水ハカセが古典文学を解説し、サイバラが漫画で相の手をいれる「書評本」です。
ただし、「名作のあらすじを読める」とか、「なんだか教養が着くような気がする」という効果を期待して手にしてはいけません。
へそ曲がりの2人がまともな本を書くはずありませんからね。
今回もちゃぶ台返しを繰り返すサイバラですが、なかでもキツーイ一発をご紹介しましょう。
しかし、インターネットなぞで あっとゆう間にあらすじのわかる今、
わざわざこの本を買って名作を読んだ気になる人なぞいるのだろうか?
しかも全編こむずかしい古典のわけわかんないもんがえらくて金に
なった時代の話が まるでおもしろくない
正直に告白をしておこう。私は何も、自分が幅広く読書をしていることを
誇りたくてこの連載をしているのではない。(中略)ロマン・ロランも読
めなかったし、トルストイも読んでないし、ゾラもよく知らないのだ。
私はただ、読んで面白かった小説の中から適当に選んでおしゃべりして
いるだけだ。
「今回は読まずにかく」と特大のネームで宣言しているサイバラに比べると、清水ハカセは、ずいぶん真面目に解説しているように見えます。
……が、よ〜く読んでみるとひと癖もふた癖もある解説です。
正統派の解説を読みたい方には、絶対にオススメできませんのでご注意ください。
正直に告白しておくと、私はロマン・ロランも読んでますし、トルストイも読んでます。
本書に登場するドストエフスキーの『罪と罰』も、三島由紀夫の『金閣寺』も、芥川龍之介の『河童』も、ポーの『黒猫』も、スウィフトの『ガリバー旅行記』(大人向け)も、もちろん川端康成『伊豆の踊子』も、漱石の『坊っちゃん』も。本書の特別講座を除く20冊の紹介本のうち7冊も読んでます。
だからといって、「自分が幅広く読書をしていることを誇り」たいわけでもないこともない(笑)。
本書を読んで意外だったのは、若き日のサイバラがけっこうな文学少女だったことです。
ただ、思い返してみるとつまんない本ばかりに見えるようで、ストーリー展開がゆっくりした『人形の家』とか『女の一生』は、
このてあいのちんたら小説
正直 現代人が読んで何か得るものがあるワケ?
とけなし、
ダントツにつまんなかったジョイスの『ダブリン市民』には、
3ページ目から修業と称して読んだのを覚えてる。
あんまり派手につまんなくて文学をソンケイしてしまった。
ナゼあれがお金になるんだ。
と最大級にこき下ろしていました。
ふつうの書評本に飽き飽きした読書家のアナタにはお勧めです。