妹たちへ


副題:夢をかなえるために、今できること
2005年8月刊  著者:日経ウーマン【編】  出版社:日本経済新聞社  \1,575(税込)  345P


妹たちへ―夢をかなえるために、今できること


各界のトップランナーとして活躍している女性たちに、働く20代女性へのエールを語ってもらった雑誌連載(日経WOMAN)をまとめた本です。
テレビキャスターの小宮悦子安藤優子、小説家の小池真理子篠田節子、漫画家の柴門ふみ池田理代子、音楽家綾戸智絵山下久美子など、全部で27名の先輩たちが自身のゆくたてを話し、後輩へメッセージを送っています。
中年男の私が読むのは場違いですが、その道の第一人者のアドバイスを逃す手はありません。ちょっと“お姉さん”のお話に耳を傾けてみました。


はたから見ると天から与えられた才能を持って生まれたような面々ですが、意外にも(というか、編集者の意図どおりというか)すんなり成功した人ばかりではありません。下積みが続いて自信を失ったり、えぇいっ! とそれまで積み上げたものを捨てて方向転換した20代は、次のように語られます。
  「私の20代は、思えば暗かった」(阿川佐和子
  「アナウンサーなんて、ずっと辞めたかった」(小宮悦子
  「拒食症になりかけた」(安藤優子
  「20代の私は混沌としており」(海原純子
社会的に評価されるまでには、やっぱり苦労があったんですねー。


仕事上の葛藤から一歩抜け出すきっかけは、いろいろです。人との出会いだったり、歳をとってふっきれたり、ルーティンワークから「何か」をつかんだり。やはり共通しているのは「どうしても、この道を諦めることはできない」という思いの強さでしょうか。


まじめなアドバイスが多い中で、「お薦めしません 激痩せラリー」なんていう笑かしてくれる話もありましたよ。
「ビッターズ」というオークション&ショッピングサイトを起業した南場智子さんは、ある時、社内で「激痩せラリー」を実行しました。
激痩せラリーのルールは簡単。6週間で何パーセント体重減少したかを競います。参加した15名の中には100キロ級も2人エントリーしていました。「なにしろヤツらは、40パーセント痩せても生きていけるわけだ。有利だよなぁ」と南場さんはマークしていましたが、2人ともあえなく途中脱落。なんと一人は減量どころか「増量」してしまいました。
6週間後の最終計測の前日、南場さんは完全に水を断つという過激な作戦に出ましたが、優勝したのは、最終日に徹夜でジョギングするというアラワザを繰り出した部下でした。
部下の名前が「亀井(仮名)」なんていう小ワザも笑えますが、「なんてこった。悔しい。情けない。頭脳や体力でかなわなくても、意志力で負けるってこたぁないだろう」と本気で悔しがる社長は最高です。楽しそうだなぁー。


なんとかなるさ! という合唱が聞こえてくる本です。
元気になります!


さて、はたらく女性にとって避けて通れないのが、結婚するか・しないか、子供を産むか・産まないか、という問題です。
  「どうして若い頃に結婚して産んでおかなかったのかと悔やまれてなら
   ない」(渡辺えり子
という人がいるかと思うと、
  「自分も子供を作っていればよかった、と密かに後悔した……などとい
   う、どこかで聞きかじったような三文ドラマの筋書きのごとき心境に
   陥ったことも、一切ない」(小池真理子
という人もいて、おまけに、
  「仕事から逃げたくて、計画的に妊娠した」(柴門ふみ
なんていう人まで登場しますから、これだけは十人十色です。


産むか・産まないか、なんて男性読者が実感できる話題ではありませんが、45歳でできちゃった結婚をした石川三千花氏(イラストレーター)の次の言葉が印象的でした。
  そしてハッピーは生活のちょっとしたところに表れる。たとえば、人は
  おいしいものを食べるとハッピーになるが、双子が私の作った離乳食を
  ぺロリうまそうに食べてニッコリするとハッピーだし、ダンナのMちゃ
  んはいつも「おいしいね、三千花ちゃん」とうれしそうな顔をする。こ
  れも私をハッピーにさせる。いやー、テレるな、絵に描いたような幸せ
  家族で。すまん、すまん。


43歳で第一子を授かった私も、石川さんと同じ幸せを毎日感じています。
いやぁ〜、すまん、すまん。