副題:本のソムリエが教える悩んだときに読んでほしい53冊
著者:清水 克衛 出版社:辰巳出版 2010年9月刊 \1,260(税込) 143P
著者の清水さんは、自称“三等地”で「読書のすすめ」という書店を経営している。
なんだかおもしろそうな人なので、おととしのゴールデンウィークに東京のはずれ江戸川区篠崎一丁目のお店まで会いにいった。
ちょびヒゲをはやしたきさくなオジサンで、お願いに応じて、こころよくサインもしてくれた。(詳しくは2009年5月の こちらのブログ をご覧あれ)
最近は、テレビにもよく登場しているようで、僕も何かの番組で、エレナ・ポーター著『少女パレアナ』を勧めている清水店長を見た。
『少女パレアナ』の主人公は、いつも明るくて天真爛漫な女の子だ。不幸な境遇におかれていたが、どんなことにも喜びをみつける「喜びのゲーム」が得意だ。物語は、彼女の健気さが周りの人々を幸せにしていって、ハッピーエンドで終わる。
僕も中三の春休みに読んだ。
清水店長がこの本を勧めているのを聞いているうちに、なんだか懐かしくなって『少女パレアナ』を図書館に予約した。
その清水店長の最新刊が『しあわせ読書のすすめ』だ。
見開き2ぺージで1冊の本を紹介しているので、書評本に分類されるのかもしれないが、ちょっと趣きがちがう。
本をジャンル別に分けるのではなく、読者のお悩みの種類で分類してある。
たとえばチャプター1「人間関係」では、
「なかなか友達ができないんです」
「信頼していた人に裏切られて辛い」
などのお悩みが書かれていて、清水店長が、
「そんなに悩まなくてもいいよ。この本を読んでみたらどう?」
と1冊の本を勧めてくれる。
チャプターは全部で6つあり、
- chapter2 仕事
- chapter3 人生
- chapter4 恋愛
- chapter5 結婚
- chapter6 家族・育児
と続いている。
勧めてくれる本の内容もいいけど、清水さんが「こう考えたらラクになるよ」と教えてくれる推薦のことばが魅力的だ。
いくつか例を引いてみよう。
チャプター1「人間関係」の10番目のお悩み相談は、
「イジメられた経験がトラウマで人が怖い」
というもの。
清水店長は伊藤守著『ご機嫌の法則100』を勧めながら、こんなふうに相談者に語りかける。
この本のなかにこんなフレーズが出てくるんだ。
「ご機嫌な人は、いつでも、
いま目の前にあることを楽しむ準備ができている。
だから、いつも楽しい。
不機嫌な人は、いつも、いまここにいない、
楽しい事を探している。」
確かにイジメられたことは辛い出来事だけど、それは過去のこと。
それをトラウマにしているのは今の自分自身なんだよ。
嫌な過去を思い出しているから、記憶が薄れるどころか、どんどん
大きなものになっていく。それでストレスためて病気にでもなったり
したら、人生がもったいないよね。
過去のことを思い悩むよりも、とりあえず朝起きた時に「今日も
楽しい!」って何度も言ってごらん。言っているうちに悩みがだまされ
て、本当に楽しい気分になってくるから。
「どうしたら夢がみつかりますか?」っていう、ありがちな質問に、清水店長は次のように答えた。
世間に煽られてるんだよ。夢を持たないといけないような気にさせ
られて、無理に夢を設定して、それを実現できないと自分はダメな人間
だと落ち込む。そんなのまったく意味ないよ。自分の適性なんて自分が
一番わからないんだから。
人それぞれの環境の中で、自分が心から楽しいと思えることを素直に
一生懸命やっていれば、夢がむこうから駆け寄ってくるんだよ。
さすが、成り行きで店長になっちゃった清水さん。
言うことがひと味ちがう。
最後に、あとひとつ。
「生きている意味がわからないんです」というお悩みの答えを引用しておこう。
泉ウタマロ著『人生逆戻りツアー』を勧めたあと、清水店長は言った。
この世に偶然なんてない。日常何気なく起こることにも、きっと何か
意味がある。チャンスはどこから来るのかわからないんだから、360度に
アンテナをはっておかないとね。
チャンスはどこから来るのかわからない。
清水店長の笑顔がチャンスを呼び込んでくれるかも。