いいことが起こり続ける数字の習慣


副題:こころの平和をつくる自分マネジメント
著者:望月 実  出版社:総合法令出版  2009年9月刊  \1,365(税込)  228P


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著者の望月さんは、『会計のトリセツ』、『決算書速読術』、『決算書分析術』など、会計の世界を分かりやすく解説する本を書いています。私の読書ノートでも『問題は「数字センス」で8割解決する』を昨年7月に取り上げましたが、難しいことをわかりやすく説明する望月節に舌を巻きました。(2008年7月23日のブログ 参照)


数字を分かりやすく解説するという望月さんのライフワークに沿って、こんどは健康、お金、人間関係、時間をコントロールするという切り口で書いたのが今日の一冊『いいことが起こり続ける数字の習慣』です。


毎日の生活をもっと幸せにするためには、どうしたらいいか。


望月さんは、

  人が幸せを感じるのは、「健康(ダイエット)」「お金」
  「人間関係」「時間」の4つのバランスが取れているとき

と考えました。


4つの項目には異論のある方もいるでしょう。
答えは人それぞれと思いますので、


  「“愛”のない人生なんて……」
  「いやいや、“仕事”も入れるべきだ」


などと反論する声が聞こえてきそうです。


しかし、望月さんの意見で大切なのは、4つの項目名よりも「バランス」の方です。


「愛」や「仕事」も大切でしょうし、望月さんの挙げた「お金」や「人間関係」ももちろん大切ですが、「愛」や「仕事」にのめり込んだり、「お金」に執着しすぎてバランスを崩してしまっては幸せになれません。


実は、望月さん自身も、入社した外資系の会計事務所で仕事に没頭しすぎて体調を崩し、休職を余儀なくされたことがあります。


仕事を休んでいるときに望月さんが考えたのは、

 「人生は長いのだから、そんなに急ぐ必要はないのかな」

ということでした。


バランスを取りながら日々の生活を充実させる。ワーク・ライフ・バランスを手に入れるために会社を辞めたのは、2002年のことでした。
その後、望月公認会計士事務所を設立し、著作家としても活躍しながら、どのように生きていくのが、自分と周りの人を幸せにすることができるかを現在も模索しているといいます。


そんな望月さんが教えてくれるのは、「数字を使う」ことによって「こころの平和をつくる」方法です。


具体的ノウハウは本書をお読みいただくとして、スケジュールを「見える化」する具体的方法や、カロリー計算をしない数字ダイエットなど、耳よりな話題がたくさん載っています。


話題になった『スタバではグランデを買え』に反して、望月さんは「私はスターバックスでトールを頼む」といい、理由もはっきり書いていました。


私が一番参考になったのは、第4章の「幸せな未来を創るコミュニケーション術」でした。


望月さんは「俺が、俺が」というギラギラした自己顕示欲から一番遠い人で、


  私が出会いで心がけているのは、無理をしないということです。


  私は、「引き寄せの法則」よりも、「引き寄せられ」の法則」の方が
  大きなパワーを持っていると思います。


という、落ち着いたコミュニケーションスタイルを持っておられます。


「さおだけ屋」の山田真哉さん、『会計のことが面白いほどわかる本』の天野敦之さんとの交流も示唆に富んだものでした。


無理をせず、がまんをせず、うまく数字を使ってバランスを取る。
こんな難しいことが、ちょっとした工夫でできるそうですよ。