副題:売れる店には、理由がある
著者:清水 克衛 出版社:学研 2008年12月刊 \1,470(税込) 209P
人通りが多い一等地に店を出すと、見かけ上のお客さんがたくさん来てくれるから知恵を出さなくなる。三等地なら知恵を出さないとお客さんが来てくれない。一等地で地代にお金を吸い上げられながら商売するより、三等地でがんばってみませんか、という起業家マインドにあふれた一書です。
この本を知ったのは、新刊JPポッドキャスト番組『新刊ラジオ』2月6日号で取り上げていたからです。
この番組でブックナビゲーターを務める矢島雅弘さんが珍しくスタジオを飛びだし、著者清水さんが経営する「読書のすすめ」という本屋さんを取材していました。東京都江戸川区篠崎一丁目という、東京としては辺鄙(へんぴ)な場所まで出かけた矢島さん、店の周辺の様子を「空が広い!」と表現していました。
店内には、本を紹介する不思議なポップが並んでいます。
たとえば、『ミミズに笑われない生き方』という本には、
申し訳ございません。
この本は女性の方には
お売りできませんので
ご了承下さい。 店主
と書いてある。
かと思えば、『幸せバッグの法則』のポップには、
男性は36ページ
は絶対、読ま
ないで下さい。
と書かれているそうです。
本屋なのにCDが置いてあるのはともかく、ポン酢まで置いてあるというのは、まるで『すごい本屋!』(2月28日の読書ノート参照)に登場する「イハラ・ハートショップ」のようです。江戸川区篠崎というのは、和歌山県日高郡日高町に匹敵するような僻地なのでしょうか(笑)。
井出さんという店員さんにマイクを向け、「店長の清水さんはどんな方ですか?」と矢島さんが尋ねると、ひと言。「本当にアホな方なんじゃないですかね」
どうも、これが最高の褒め言葉らしいです。
この不思議な本屋には熱烈なファンがいて、北海道や沖縄、遠くはニューヨークからも来客するとのこと。
こりゃ、おもしろそう!
さっそく申し込みました。図書館に(笑)。
図書館に申し込むと、棚に置いてない本でも買ってくれてありがたいのですが、手に入るまでに時間のかかるところが玉に瑕です。年度末で図書館の予算調整があったのか、この本がやっと私の手許に届いたのは2ヵ月後の4月19日でした。
実際に手にとってみて、私も惚れました! このアホ店長に。
清水さんは、本書で次のように訴えています。
「私は、自分だけ成長するのはいやなんです」
「みなさんといっしょに、成幸したいんです」
「仕事って、楽しくって、勉強になって、儲かるんだ!」
私が書評家として参考になったのは、清水さんが「これはとってもいい商品で、買ってくれたお客さんはぜったい喜ぶぞ」という思いを伝えるため、一生懸命考えて工夫していることです。
いいなぁ。こういうアホ店長。
『新刊ラジオ』のインタビューで、店員の井出さんが、次のように言っていました。
「こんな変な店、本当にないですよ。
死ぬまでに一度は見に来たたほうがいいです。
なんかタメになるんじゃないかと思います。
ぜひ一度ボクの顔見に来てください」
よし、決めた!
この本は図書館に返して、代わりに江戸川区篠崎の「読書のすすめ」まで出かけて行ってこの本を買おう!
もし、店長さんに会えたら、サインしてもらおう! 店長さんが留守だったら、店員の井出さんでもいいや(笑)。
ついでに、私の本『泣いて 笑って ホッとして…』を売ってもらおう(汗)。
清水さ〜ん。
近々行きますからね〜。