「視聴率男」の発想術


副題:『エンタの神様』仕掛け人の“ヒットの法則”
著者:五味一男  出版社:宝島社  2005年8月刊  \1,680(税込)  207P


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生き馬の目を抜く放送業界で高視聴率をマークしている人の発想、というキャッチコピーは魅力的。とはいえ、この本は2年まえに出版されている。次から次へ新番組が生まれては消えていく世界では、2年前というのは大昔と同義かもしれない。


実は、本当に読みたかったのは、今年6月に出版された王東順著『「視聴率の怪物」プロデューサーの現場発想』のほうである。残念ながら図書館の蔵書リストに載っていないので、購入リクエストした。ついでに、ちょっと前の本ではあるが、この本も申し込んでみたのである。
ちなみに、読みたかった『「視聴率の怪物」――』の著者はフジテレビ、本書『「視聴率男」の発想術』の著者五味氏は日本テレビで高視聴率を誇っている。


五味氏は、日大芸術学部卒業後、CM映画界で市川準に師事。中途採用日本テレビに入り、毎分視聴率を見たとき、CM時間帯に視聴率が低下する事実に愕然とする。お前のCM作品なんて誰も注目していないよ、といわんばかりの数字を見て、五味氏は自分の好みや嗜好で作品を作ることをやめた。
その代わり「普通の人の目線」という姿勢に徹する決意をし、精進を続けた結果、「1000万人の視聴者の代表としての自分の感覚」に自信を持つようになる。


実際に、入社1年目で担当した『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』は最高視聴率26.9%を記録し、その後も、『マジカル頭脳パワー!!』(31.6%)、『投稿!特ホウ王国』(30.0%)、など20%超を連発。この本の発売直前にてがけた『エンタの神様』でも最高視聴率22.0%を記録している。


この本で明かしている秘訣は、
  「100のレベルの自分」と「200のレベルの自分」を
  常に対話させながら番組・商品をつくる
という方式。
100のレベルは、日本人として一番普通の感覚を持っている自分で、200のレベルは、普通の人たちに向けて、新しいものをつくっていく自分、クリエイターとしての自分、と五味氏は定義し、何度も何度もこの言葉を繰り返すのだが……。


分からん!
何が100のレベルで、何が200のレベルなんじゃい!!
説明しているようで、説明になってないぞ!!!


卓越した人間の頭の中を簡単に理解しようなんて、土台むりなんだなあ。