副題:仕事を楽しむ52の秘訣
著者:鶴岡 秀子 出版社:講談社 2007年6月刊 \1,365(税込) 213P
著者の鶴岡さんは、10歳のときに「起業する!」と決めていました。
目標を実現するために、大学卒業後、最初に選んだのが大手流通業。鶴岡さんの最初の著作『一人で20人分の売上! 新人ツルちゃんの接客営業』には、お客様と接した1年間の成長過程が活き活きと描かれています。
2年目から経営企画・人事企画を経験した後、外資系コンサル社員、インターネットベンチャー経営者を経て、目標と定めた「伝説のホテル」開業のため、着々と準備を進めておられます。
本書は、「人に元気を与える」と評判のツルちゃんの講演内容をまとめたもので、仕事を楽しみながら成果を上げる鶴岡流の仕事術が満載です。
全部で52個もツルちゃんの仕事の秘訣が載っていますので、読んでいるうちに元気になること請け合いですが、ジワーッと沁み出してくるのが、「ツルちゃんておめでたい人だなあ」という驚きです。
たとえば、英語にまったく自信のないツルちゃんが
「シンガポールの会議に出席してほしい」
というお願いをされたときのこと。
頼まれたらイヤとは言わないツルちゃんは、もちろん「いいですよ」と引き受けるのですが、そのとき思ったのが、
限りなく英語が未熟な私に「行ってきてくれませんか?」って
よく言うなー
ということです。
相手の度胸に感心しているツルちゃんに、まわりの仲間は、
「いいですよ」と言うツルちゃんのほうが勇気ある
と言いました。
そりゃそうだ!
ツルちゃんって、「どうしよう……」とか「困ったなあ……」という発想とは無縁の、いい意味で本当にオメデタイ人です。
同じ状況に置かれたとき、「幸せだ」と感じる人と「不幸だ」と思う人に分けるとすれば、まちがいなくツルちゃんは「幸せだ」と感じる人、いや「幸せだ」と感じてみせる人なんです。
この「幸せだ」と感じる体質は、先天的なものだけではありません。単に前向きに発想するだけでなく、実際に結果を出す実力を伴っているのです。
元気さをキープするコツ、現状を打破するコツなど、詳しいノウハウと励ましは本書を読んでいただくとして、ツルちゃんが本書に書いていない秘訣に気づいたので、53番目に加えさせていただきます。
私の見つけた53番目の秘訣とは……、
「メンターを持つ」
ということです。
ツルちゃんは、自分を励ましてくれる人、成長のきっかけを与えてくれるたくさんのメンターに出会っています。筒井修さんや福島正伸さんのような有名な人の教えが、本書にいくつも登場します。
私が感嘆したのは、ツルちゃんは、自分の伯母さんや母親の教えも大切にしていることで、これだけ素直に教えを実践することができるのは、誰にもまねできないツルちゃんの強みなんだなー、と感じ入りました。
理屈抜きで元気になります。お勧め!