「伝説の社員」になれ!


副題:成功する5%になる秘密とセオリー
著者:土井英司  出版社:草思社  2007年4月刊  \1,260(税込)  191P


「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー


著者の土井さんは読者数約1万8千人の殿堂入りメルマガ「ビジネスブックマラソン」の発行者として有名ですが、本業は出版コンサルタントです。ビジネス書の著者・編集者にアドバイスする立場ですので、本をヒットさせるノウハウ、著者を高く売るノウハウを熟知しておられるのでしょう。


本書でもアマゾンキャンペーンをしかけ、土井さんのセミナーの完全収録CDをもれなく手に入れらる、という特典を武器に、事前予約を集中させます。
その甲斐あってアマゾンのランキングでビジネス書1位を勝ち取り、発行日4月25日の直後にさらに2万部重版決定。合計4万1千部となりました。3千部、4千部でスタートする本が多いなか、2冊目の著書でこの売れゆきというのは驚異的です。


土井さんの出版戦略のお手本のような本書の内容は何かというと、若い頃に将来を見据えて実力を磨くことの大切さを強調した、若手ビジネスパーソンむけのキャリア指南本です。


若い頃から収入と地位だけを追い求めるな。
むしろ安い給料でも自分の経験と実力を蓄積できるような仕事を選べ。
会社の中で伝説となるような実績を残して「伝説の社員」になれば、あとは
起業もよし、他社に引き抜かれるもよし、会社に残って偉くなるもよし、
好きな仕事をしながら高収入を得る道がひらけてくるのだから。


本書の主題を要約すると、これで終わりです。


ただし、言うのは簡単でも、こんなすごいことを実行する人、実行しようというモチベーションを持続できる人は、ごくわずかしかいません。本書は、そのわずか5%の選ばれた人になるために必要な心構えとノウハウ、テクニックを盛り込んでいます。
具体的なアドバイスの内容は例によって本書をお読みいただくとして、本書の特長は、その内容を深く理解させるために自分自身を例に引いていることです。


現在32歳の土井さんは、これまで経験した6回の転職のどの場面でも、「年収」に惑わされることなく、自身の将来だけを見据えて仕事を選択してきました。
本書で初めて知ったのですが、土井さんは昔から出版関係の仕事をしていたわけではなく、最初に就職したのは、ゲーム機メーカのセガでした。好きなゲームを仕事にし、いつかは海外テーマパーク事業を展開したいという大きな夢を持っていたのです。
しかし、自分より何倍もゲーム好きで、しかも何でも知っているすごい人の仕事ぶりを見せつけられ、1年で辞めてしまいました。その後、華やかな雑誌づくりにあこがれて雑誌のライターを始めますが、社風が合わない等の理由で、たった3年の間に5回の転職。
客観的に見れば、文句ばかり言って定職につかない困った若者の一人だったのです。


その「困ったちゃん」の土井さんが、何に出会い、どう考えて成功経営者の端緒をつかむことができたのか。
土井さんが短時間で能力を磨いた「非常識なやり方」とは何か。


もう若手とはいえない年齢の私も、「ほおー」と読みふけってしまいました。


お試しあれ!