副題:信用されれば、仕事・プライベート・人間関係も思いのまま
2005年6月刊 著者:石井 裕之 出版社:フォレスト出版 \1,365(税込) 208P
コールドリーディングとは、事前の準備なしで初対面の人を占う、という意味です。
著者はセラピストとして多くの人に接する職業に就いています。ある時、自分が行う療法とコールドリーディングの仕組みが似ていることに気づきました。特に発表するつもりもなく、興味本位でコールドリーディングを調べていた著者ですが、クライアントの一人が詐欺に引っかかった事件を機に本書の出版を決意しました。クライアントが相手を信じてしまった手口がコールドリーディングの手法そのもので、もし事前に知っていれば騙されることもなかったのです。
本書の前半は、相手に「どうしてそこまで私のことが分るんですか」と言わせるコールドリーディングの手法を解説し、騙されないための予備知識を与えてくれます。
ふ〜ん。そうなんだー。こういう手口を使うのかー。
コールドリーディングは、もともと「騙しのテクニック」だったわけではありません。コミュニケーションツールのひとつとして考えれば、仕事で人と接する場面でスムーズな人間関係を結び、プライベートでは恋愛や家族関係を良好にするのにも役立ちます。
また、本書の後半では、読者自身がコールドリーディングを使って、どのように応用すればよいか指導してくれています。
人間関係をスムーズにしたい方にはお役にたつかもしれませんよー。ただし、自分を信じ込ませて悪いことをするのは犯罪ですから、そういう応用はご法度ですよ。
具体的な内容は省略しますが、コールドリーディングの元になる人間観を面白く読ませてもらいました。
曰く、
「人は自分のことにしか興味がない」
「人は自分に関することしか聞きたくない」
「占い師は会話しながら探りを入れ、時に
断定的な発言をして賭けにでる」
「占い師がいろんなことを話しても、自分にヒットした
ところだけが強く記憶に残る(セレクティブメモリ)」
「人は誰でも2面性を持つ」
ほほー……。
ちょっと納得できなかったのが、著者が人を「WE型」と「ME型」に2分していることです。私自身が、WE型の性質とME型の性質を半々持っているような気がして、「ホントにこんな分類できるの?」と疑ってしまいました。
コールドリーディング手法に騙されないゾ、という警戒心がさっそく身についてしまったのでしょうか。
折りしも、きのう(2月14日)テレビをつけたら、たまたま細木数子がドン小西(ファッションデザイナー)を相手に、「ズバリ言うわよ!」と気合を入れている場面に出くわしました。ふだんは別な番組にチャンネルを変えてしまうところですが、この日ばかりは少し見入ってしまいました。
緊迫した雰囲気が最高潮に達し、細木数子が、「あんた、ここんとこに癌があるわ」とお腹を触りながら断言すると、ふだんは倣岸なドン小西が、「実は、ここ一週間、体調が悪かったんで、健康の問題を相談しようと思っていたんです」と、感服した様子をしていました。
テレビを見ながら、ズームインしたりズームアウトしたりしながらヒットを探る、という本書に紹介されたテクニックを思い出しました。「癌」とは、相当思い切った“賭け”に出たものです。
続けて、「予想が外れていることを願っているけど、なるべく早く病院で確かめたほうがいい」という細木数子の言葉を聞き、「外れても大丈夫なように予防線を張っているのかな」と感じてしまいました。
もともと占いの類を信じないほうでしたが、本書を読んで、全く信じなくなりそうです。
最後に、このブログ読者へ予言しておきましょう。
「あなたは、知的な趣味を持って人生を楽しんでいる人です。
そんなあなたは、この書評ブログの大ファンになり、
毎日アクセスせずにはおられなくなります……」(笑)