2005年2月刊 著者:城山 三郎・平岩 外四 出版社:講談社 \1,500(税込) 222P
このブログで読書ノート(書評)を書きはじめて1年を過ぎました。主に新刊を読んだ感想を160冊以上書いてきましたが、残念ながら後でもう一度読み返したくなるような本は多くありませんでした。本書のタイトルのように、人生に二度読むような本があるなら、ぜひめぐり会いたいものだ、と手にとったのが本書です。
ねらいは良いと思うのですが、対談しているのは城山三郎氏と平岩外四氏。いささかガンコジジイの趣きのあるお二人です。
平岩外四は経団連会長として国政に口をはさんでいましたし、かたや城山三郎は2003年に、「個人情報保護法案は言論の自由を圧迫するものだ」と怒っていました。「この法案が成立したら『言論の自由の死碑』を建て、小泉純一郎首相や同法案に賛成した全議員の名を刻む」とテレビで叫んでいた姿を思い出します。
その二人が若き日に読んだ本を毎月一冊ずつ再読し、名作の魅力を対談形式で語り合いました。比較的有名な本を選んでいるようで、合計12冊のうち半分は私も読んだことのある作品でした。中にはジョイスの「ダブリン市民」、アンダソン「ワインズバーグ・オハイオ」など聞いたこともない作家・作品もありましたが、丁寧なあらすじが載っているので、二人の話に参加することができます。12冊全部が二人に共通の思い出の書というわけではなく、城山三郎の推薦で平岩外四が読んだことのない本を取りあげたりして、当初の企画意図から離れた本もありました。
どうも、大御所の二人が意気投合する、というのが本書の隠れた目的だったようですね。
参考までに、取りあげた12冊の書名と作者を挙げておきます。
「こころ」夏目漱石
「老人と海」ヘミングウェイ
「人間失格」太宰治
「変身」カフカ
「山月記・李陵」中島敦
「車輪の下」ヘッセ
「野火」大岡昇平
「ダブリン市民」ジョイス
「ダロウェイ夫人」ウルフ
「かもめのジョナサン」
「間宮林蔵」吉村昭
「ワインズバーグ・オハイオ」アンダソン
ちょっと残念だったのは、12冊全部が小説だったこと。それに、若き日に読んだ本の再読なのに、ロマンスが一冊もない、ということ。
だからガンコジジイなんですよ!
そういう時代に青春を過ごしたのですから、しかたないのでしょうかねー。