平然と車内で化粧する脳


2000年9月刊  著者:澤口 俊之・南 伸坊  出版社:扶桑社  \1,600(税込)  220P


平然と車内で化粧する脳


三角あたまの南伸坊さんは、その道のプロから話を引き出すのが得意らしいです。
本書では、脳科学の専門家・澤口俊之氏から人間の行動と脳の関係について、うまく話を引き出すような質問をしながら講義を受けています。


人間の行動の中でも本書で話題にしているのは、人前でイチャついたり、どこでもベタッとしゃがみ込んだり、車内で化粧したりする若者たちの行動です。(最近は、オバサンでも車内で化粧したりしますから、若者だけの行動とはいえませんが……)
脳科学の視点から澤口先生が出した結論は、モンゴロイドである日本人が「脳の進化」に逆らった生活と子育てを行ったことに原因がある! ということです。
結論からすると、「シツケがなってない」とか「子供部屋なんて必要ない」とか「日本人なら米と魚だろ」とか、まるでそこらのオヤジが言っていることと変わりはありません。しかし、その根拠が「人類500万年の中で培ってきた」とか、「モンゴロイドネオテニー戦略」とか、アカデミックな話になっていくので、教わる方としてはちょっと賢くなった気がします。


澤口先生のお言葉によると、何でもヒトはもともと「一夫多妻型」なのだそうで、異母兄弟姉妹も一緒に暮らす環境で、タテ社会にもヨコ社会にも適応できる幅広い社会性の芽を育ててきた、とのこと。何十万年も、多様な関係性にあふれた社会環境のなかで育ってきた人類が「一夫一婦型」で子育てするのは無理があるのでしょうか。だからといって「一夫多妻型」に戻るわけにはいかないのですけどねー。