2分以内で仕事は決断しなさい


副題:スピード重視でデキる人になる!
2005年4月刊  著者:吉越 浩一郎  出版社:かんき出版  \1,470(税込)  205P


2分以内で仕事は決断しなさい


ドイツ外資系のトリンプは世界最大の下着メーカーで、日本では「天使のブラ」「恋するブラ」などの女性下着で知られています。本書は、その日本法人トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長が書いた、スピード経営を推奨する本です。
吉越氏は「スピードのない会社は生き残れない」と、一貫してスピード経営の大切さを訴えます。
なにしろ、トリンプの成功の秘訣である毎朝8時半からの早朝会議では、どんな大きな問題も2分以内で決断。「考える前にまず行動」「拙速大歓迎」「修正訂正を加えながら走り続ける」と、とにかくスピード、スピード、スピードなのです。


18年連続増収増益を続けている実績を背景にした社長の言葉には重みがあり、次のような目次のタイトルを見ただけでも、刺激的な内容が想像できます。
曰く、「根回しする会議はいらない」「会議は社長と社員のしのぎあいだ」「人事と給与明細以外はすべてオープンにする」「残業して売上を上げても意味はない」「デキる社員は勝手に育つ」。かと思えば、私語・電話も一切禁止で仕事に集中する「がんばるタイム」を毎日2時間設定したりもしています。


本書のあと6月には『革命社長』も出版し、自信の経営手法を披露している著者ですが、最近、ちょっとした失敗をしてしまいました。
それは、『革命社長』出版を記念して立ち上げた「吉越浩一郎の革命社長日記」というブログ上でのできごとです。渡辺淳一日経新聞に連載している『愛の流刑地』のファンで欠かさず読んでいる、と書いたことが波紋を呼び、ブログに大量の抗議文が書き込まれました。あんな三流ポルノ小説を読むなんて許せない、男尊女卑作家のファンが社長をやっている会社の下着なんて買いたくない、不買運動してやる! と罵詈雑言の嵐。
渡辺淳一が女性からどのように見られているかをよく考えずに書いてしまったようですが、流行っているからと言って『愛ルケ』を取り上げてしまった軽率さに、「社長の認識が無さ過ぎて恥ずかしい」と手厳しい指摘が続きました。


でも、さすがスピード経営を進める著者です。問題の発端となった8月24日から4日後には「いろいろコメントを頂き有難うございました」「はじめてチャレンジしたブログというメディアで、いろいろな方のご意見が聞けて、大変勉強になりました」とお詫びの書き込みを行い、9月5日には「本日をもって終了させていただきます」とブログを終了してしまいました。
すばやい! と感心していたら、一週間後の今日には、もうブログをアクセスできませんでした。サイトを閉鎖するというアラワザまで見せてくれたようです。


「間違えたら改めればいい」という社長の前向きな声が聞こえてきそうな事件でした。


※ 閉鎖される前の内容を読みたい方は、googleで「吉越浩一郎の革命社長日記」を検索し、キャッシュの内容をご覧下さい。