子どもはぜんぜん、悪くない。


2005年4月刊  著者:佐藤 弘道  出版社:講談社   \1,000(税込)  125P


子どもはぜんぜん、悪くない。


おかあさんといっしょ」という1959年から続いているNHKの幼児番組があります。その第10代目の体操のおにいさんが本書の著者です。甘いマスクで全国の子ども……というよりお母さんたちに大人気でしたが、今年3月に12年間のお勤めを終えました。
本書では、番組の思い出をふりかえり、現在の子どもたちが置かれた状況や子どもとのコミュニケーションの取り方を提言していますから、まじめな本のように見えます。教育論の本と勘違いする人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
本書は、実は全国のおかあさんファンに贈る佐藤弘道の卒業アルバムです。だいたい、何で表紙から10ページも著者がポーズしている写真が載っているんですか! これじゃ、まるでグラビアアイドル!
わが家でも、図書館から借りてきた本書を真っ先に読んでいたのはカミさんでした。ちょっと問題だと思いませんか? まぁ、ヨン様のポスターを貼られるよりはマシですが……。


気を落ち着けて、内容を紹介しましょう。
著者は日本体育大学を卒業後、スポーツインストラクターや家業のやきとり店手伝いをしている24歳のとき、ちょっと試しに「おかあさんといっしょ」のオーディションを受け、採用されました。あまりテレビに出る心構えはなかったのですが、父が亡くなった日が最初の収録日という試練を乗り越え、だんだん「子どもたちと向き合う」ことを一生の仕事と思うようになりました。
12年間の楽しかったこと、少しだけ辛かったこと、自身の生い立ちや我が子の病気のことも語っています。
ちょっと意外だったのは、食事のマナーや食べ物を残すことについて「うるさい父」であること。著者は自分の子どもに、「食べ物を粗末にしちゃいけない。お米をよく見てごらん。七つの部屋にわかれているだろう。この部屋の一つ一つに神様が住んでるの。お米には七人の神様がいるんだよ」と教えるとのこと。何だか戦前生まれのガンコじいさんみたいです。
就学前のお子さんをお持ちのお父さん、お母さんには参考になる本だと思いました。


それにしても、「おかあさんといっしょ」は10月5日で満46年になるんですね。私が白黒テレビで見ていた頃の体操のおにいさんは、初代の砂川啓介さん(後年「どらえもん」の大山のぶ代と結婚した人)でした。
少子化の世の中だからこそ、もっともっと続けて欲しいです。