2005年2月11日号『週刊金曜日』増刊 著者:『週刊金曜日』取材班
出版社:週刊金曜日 \735(税込) 96P
雑誌コード22936-2/17
週刊金曜日という雑誌をご存知でしょうか。本多勝一、筑紫哲也、椎名誠、佐高信、落合恵子、石坂啓が編集委員を務める雑誌で、ベストセラーになった『買ってはいけない』(1999年5月刊)を覚えている人も多いことと思います。
週刊金曜日編集部は「広告主の不当な圧力を受けないために、広告からの収入ではなく、定期購読者の購読料で経営しています」という“硬派宣言”をしており、『買ってはいけない』では、テレビ広告している有名商品に本当は害があること(特にシャンプー、洗濯用洗剤、食器洗剤、食べ物に含まれる化学物質の恐さ)を警告していました。
私は6年前に定期購読していましたが、あまり良い読者ではなかったようです。その後、何にでも噛みついている記事が疎ましくなり、やめてしまいました。私が愛用しているパルスウィートという人口甘味料が『買ってはいけない』の連載で取り上げられたときも、「そう言われてもなぁ……」と素直に従うことができず、今も愛用しています。
久しぶりに週刊金曜日に接近してみました。やっぱり、この雑誌にタブーはありません。
本書で取り上げたのは、日本最大の広告代理店「電通」。
内容は、電通が業界トップを走り続けるために、どれだけ悪辣なことをしているか、ということです。
電通が成長したきっかけは、戦犯として追放され不遇をかこっていた政財界人、満鉄職員、軍人などを採用したことだそうです。追放解除された彼らが政界・官界・財界・マスコミ界で活躍することで、電通は大きなコネクションを手に入れました。
本書には、他にも、電通の社長・会長を歴任した成田豊がTBSの役員も兼任してテレビも支配している、とか、政界引退後の中曽根元首相を顧問に招いた、選挙戦略を請け負って政治にも影響力を行使している、各界の幹部・著名人・重鎮の子供をコネ入社させている、武井会長がマスコミに「盗聴疑惑」で叩かれたとき「武富士報道」を潰そうとした、テレビ視聴率調査の独占会社ビデオリサーチの34%を電通が所有している……。
いやぁ、もうゲップが出るほどエゲツナイ話が次から次と書いてあります。電通がこれだけ日本を支配しているのが本当だとすると、一般の出版社がこんな本を出せるわけがありません。さすが、タブーの無い週刊金曜日。
でも、本書は雑誌扱いなのでアマゾンでも紀伊国屋BookWebでも買えません。ご注意ください。