2004年3月刊 著者:西原 理恵子 出版社:毎日新聞社 価格:\880(税込)
西原理恵子は夏目房之助と同じく漫画エッセイを書く人だと思っていた。以前読んだ『怒濤の虫』はエッセイ中心で漫画は付け足しだったし、群ようことの共著『鳥頭対談』には漫画はほとんど(全く?)出てこなかった。
だから地元の図書館で「コミック本は購入できません」という封書を渡されて驚いた。「えっ、『毎日母さん』は漫画だったの?」
でも、西原の本を自分の本棚に並べておくのはなんだか恥ずかしいから図書館に申し込んだのだ。ダメっていわれても困るなぁ、としばらく放っておいたら、図書館から「入着しました」と連絡があった。方針が変わったのかな、と思いながら貸出窓口に行って納得した。
神奈川県内の図書館ネットワークがあるそうで、『毎日母さん』は座間市の図書館から取り寄せてくれたとのこと。よかったよかった。座間市に感謝。
さっそく読んでみる。
長いこと待っていた甲斐があった。80ページもない漫画なので読み終わるのに時間はかからないが、期待していた以上の満足度。
いい本を読ませてもらいました。
毎日新聞の連載をまとめた本書には、著者の子育てのエピソード(もちろんギャグ満載)と離婚前後のでき事が披露されている。1993年に出版された『怒濤の虫』で「結婚には否定的な考えの持ち主です、私」と言っていた著者も、今やカニ母となって子育てに奮闘している。『怒濤の虫』ではおかっぱ頭の女の子だったが、カニ母はひっつめ髪で目をつりあげている。
連載を持ちながら子育てするのは大変で、目をつりあげて殺伐とした光線を発しているのも無理はない。そんな日々の中、ふっと人生を考える瞬間や我が子への愛情を描いている場面に出会うと、こちらも最後のコマを見つめながら余韻に浸ってしまう。
そうかと思うと、「こんなにおいしい物を子供には分けてあげない」と一人で夜中にカニにむしゃぶりつく西原ワールドに出会う。
感傷なんかに浸っている暇はない! という著者のパワーが気持ち良い。これなら本棚に置いても恥ずかしくない。