これでいいのだ14歳。


副題:天才バカボン公認副読本 バカボンパパに学ぶ14歳からの生き方哲学100
著者:福田 淳/著 赤塚 不二夫/漫画
出版社:講談社  2008年10月刊  \840(税込)  255P


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2003年に池田晶子著『14歳からの哲学』がベストセラーになったことがありました。
また、この11月に出た宮台真司『14歳からの社会学』という本も出て、よく売れているようです。


今日とりあげる『これでいいのだ14歳。』も、中学生に向かって、大人が本気で語りかける本です。
将来のことをあれこれ思い悩む年ごろの14歳に向かって、『天才バカボン』を読みなさい。そうすれば何をしたって「これでいいのだ」とスッキリする。と著者の福田さんは言いきります。


本書で福田さんは、知りあいで「好きに生きて好きなことをやっている」仲間7人に登場してもらい、中学時代の自分、その後好きなことをやっている自分について語ってもらっています。
著者の福田さん自身が、好きに生きて好きなことをやってきた人ですから、福田さんのまわりで共鳴する人は、みなさんエネルギッシュです。


さんざん好きなことをやってきたあと、「フジオ・プロの社長」という落ち着くべきところに落ち着いた赤塚不二夫の娘の赤塚りえ子さん。
世界を滅ぼす夢を抱いていた少年が、職を転々とし、50以上もアルバイトを経験したあと、深海生物専門のサイエンスライターになった北村雄一さん。
男子として生活することに違和感を持っていたのに、大人になるまで我慢して、今はニューハーフだけのIT企業を率いるカリスマニューハーフの如月音流(きさらぎ・ねる)さん。
その他、登場する人だれもが、試行錯誤も含めて「これしかない」という生き方を選んで生きてきて、いまは「これでいいのだ」と自分の生き方に自身を持っている人たちばかりです。


14歳がどう読むかは分かりませんが、いい年になっても生き方に迷っている人、終わらない自分探しに明け暮れている大人は、ガツンと頭を殴られたように感じることでしょう。
また、自分の生き方に自信を持っている人には、これだけ個性的な人たちの生き方を知ることが、ちょうど良い刺激になることでしょう。


あなたが、自分の生き方に自信があっても、なくても、「これでいいのだ」の真髄に触れてみることをお勧めします。



ところで、4人目のインタビューに登場する橘川幸夫さんは、以前にも書きましたが、私が本を出すきっかけを与えてくれた、大切なメンターです。
福田さんの書いた橘川さん紹介文が、橘川さんらしさをよく表していたので、引用させてもらいます。

   コラムニスト、編集者、ネットメディアの開発者……。橘川さんの
  仕事を肩書きで説明するのは難しい。世界で最初に素人投稿だけの雑
  誌を出したこともある。“面白いことの仕掛け人”なのだ。楽しそう
  なアイデアがひらめると、「僕の仲間に加わりませんか」と呼びかけ、
  たくさんの人を巻き込んで大騒ぎする。次はいったいどんな試みを始
  めるのか。僕はいつも目が離せない。


橘川さんはいつも本音で語る人なので、いとも簡単に、タテマエの世界の欺瞞をあばいて見せてくれます。
本書の中でも、「飲んだら乗るな」という交通標語が、読んだ人にほとんど影響を与えない理由を次のように解明しています。
交通標語の目的が、じつは「決めたルールを守らせる」ではなく、「警察は、やることをやっているよ」とアピールするためだから。そんな不純な動機が根っこにあるから、ちっとも効果のないタテマエになってしまうのです。


そんなタテマエを暴露して見せると、14歳は大人の言うことをますます信じなくなるかもしれませんね。14歳には、ちょっと刺激が強いかも(笑)。


尚、余談になりますが、橘川さんの写真の背景が事務所の本棚になっていて、並んでいる本の一番右はじに私の著書『泣いて笑ってホットして…』が写っていました。
私がお贈りしたものですが、こうやってお師匠さんの後ろに写っているとは光栄です。


皆さんも、本書をお読みになったときは、118ページの写真を凝視してみてください。ついでに、『泣いて笑ってホットして…』を買って読んでみることをお勧めします(笑)。