じゃんけんはパーを出せ!


副題:ビジネス解決力が身につく「ゲーム理論
著者:若菜 力人  出版社:フォレスト出版  2008年10月刊  \1,365(税込)  191P


じゃんけんはパーを出せ!~ビジネス解決力が身につく「ゲーム理論」~    購入する際は、こちらから


現在のコンピュータの基本原理――プログラムをデータとして記憶装置に格納し、順番に読み込んで実行する――は、ジョン・フォン・ノイマンが考えたと言われている。
ノイマンは多くの業績を残したが、本書で取りあげているの「ゲーム理論」も有名な業績のひとつだ。


ある一定の条件のもとで複数の人間が目的を達成しようとするときに、どのような手を打てばよいかを研究したものだが、チェスやオセロのプレーヤーがお互いに勝つための手を模索していることに似ていることから「ゲーム」理論という名前がついた。
「ゲーム」だから楽しいとは限らず、国家のメンツを賭けた駆け引きのように、ひとつ間違えば戦争につながりかねない「ゲーム」もある。冷戦時代にアメリカとソ連が覇権争いしていたことは「パワーゲーム」と呼ばれ、なかでもキューバ危機発生時のケネディフルシチョフの交渉は、ひとつ間違えば核戦争になりかねないものだった。


本書は、ジャンケンの必勝法の解説からはじまり、この「ゲーム理論」を生活の場に応用することを勧めている。


「合コンでは会計男とイケメンはどちらが得をするのか?」とか、「普通の女性がセレブになる方法」など、前半に出てくる例題は、やわらか過ぎて“品格”に欠ける気もするが、「つかみ」はオーケーだ。
ブルーレイディスクに破れたはずの東芝の株価が上がる理由や、ハイリスク・ハイリターンの欺瞞性の指摘など、いかにもビジネスっぽい話題もおりまぜている。
ノンフィクション作家の柳田邦男氏も追求した「ゼロ戦はなぜ敗れたか?」という問いに対して、ゲーム理論を使ってアメリカの戦略を解説しているのを読むと、だんだん内容に感心させられるようになってくる。


MBAでは必修となっているゲーム理論を、もっともっと日常生活に使おう。何か決めなければならない場面で、本当にベストな選択ができるよう、考えてから決断しよう。


分かりやすい主張、分かりやすい文章、引き込まれる構成だった。
一読あれ。