誰も知らない世界と日本のまちがい


副題:自由と国家と資本主義
著者:松岡 正剛  出版社:春秋社  2007年12月刊  \1,890(税込)  467P


誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義    購入する際は、こちらから


今日とりあげる本は、昨日につづいて世界の本。しかも、2冊ともシリーズ本の2冊目です。


『ざっくり!世界史』は、齋藤氏の『ざっくり!日本史』の第2弾でした。『世界と日本のまちがい』は、松岡氏の『17歳のための世界と日本の見方』に続く「世界の見方」シリーズ第2弾です。
経歴も作風もちがうお二人ですが、不思議とシリーズものの2冊目どうしの主題が一致しているので、続いてとりあげることにしました。


松岡氏の本は、実際に聴衆を前にした世界史の講義形式で進められます。前著『17歳のための世界と日本の見方』の続きとして、歴史分類上の「近代」と「現代」に起こったできごとの解説が延々と続くのです。
齋藤さんが5つのパワーに合わせて世界史のできごとを選ぶスタイルをとったことと対照的に、松岡氏は、世界中をあっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら、少しずつ現代に近づき、そのなかから世界史の近代・現代をつらぬく一つの「まちがい」を導こうとします。演繹法帰納法のちがいといえるでしょう。


松岡氏が帰納法のために取りあげる歴史上の事件は多岐に及んでいて、しかも通りいっぺんの解釈ですまさずに、事件の背景や影響を掘り下げています。これ以上くわしいことを知りたい人は『○○』という本をお勧めします、と紹介したあと、「この解説を、なんと私が書いています(笑)」と笑いをとることも忘れません。
さすが10万円もする書評本『松岡正剛千夜千冊』の著者。しかも、あふれる知識が自慢に聞こえないのは、本物の知識人のしるしです。


なにしろ、「イスラム社会については、ほとんどド素人」と謙遜したあとすぐに、「それでもこの7、8年で50冊ほどの本を読み、しだいにその魅力が伝わってくるようになった」と続ける御仁です。
張り合おうと思っちゃいけません。


そんな松岡氏が400ページ以上かけて近代史をひもといた結果、世界と日本のどんなまちがいに気づいたのか……。


答えは読んでのお楽しみにさせていただきます。