副題:再生・日本製紙石巻工場
著者:佐々 涼子 出版社:早川書房 2014年6月刊 \1,620(税込) 267P
東日本大震災で破壊された製紙工場が、短期間で復旧するまでの過程を追ったドキュメンタリーである。
2011年3月11日。
南を太平洋、西側を工業港、東を旧北上川に囲まれた工場は、三方から巨大な津波に襲われた。
津波の黒い水は土煙を上げて構内になだれ込んだ。
引き込み線のレールをぐにゃりと曲げ、貨物用のディーゼル機関車をなぎ倒し、工場の壁やシャッターを突き破り、様々なものを破壊していった。
さまざまな瓦礫も流れ込み、あとで発見されることになる41名の遺体も含まれていた。
「おしまいだ。きっと日本製紙は石巻を見捨てる」
従業員のだれもが、そう思ったという。
しかし、工場長の倉田は3月末に宣言した。
半年で製紙ラインの1台を動かす、と。