副題:ネイティブが驚くほど会話が上達する英文法の本
英文法のワナを鮮やかに解きほぐし、気持を込めて話せる
英文法に一発変換!! 会話シーンとビジュアルで納得!!
著者:徳田 孝一郎
出版社:メディア・ポート 2008年9月刊 \1,365(税込) 207P
ここは新宿にある「Bar Will」というお店。
人のよさそうな青年がバイトの面接にやってきました。
もじゃもじゃ頭のアメリカ人店長は少しだけ青年を観察して、「…で、いつから来られるの?」とすぐに採用を決めました。
店の入口に「This is English friendly Bar.」と書いてあるのを見つけ、「あの…、ぼく、英語話せないんですけど…」と心配する青年でしたが、店長は気にしません。
よっぽど人出不足だったのでしょう。
こうして、学校英語しか知らない兵衛門は「Bar Will」に採用され、店長のディド、お客さんのリッチ、店長の妹のキャサリンなどから英語の手ほどきを受ける、不思議なバイト生活がはじまりました。
本書は、日常生活の場面を通じて、学校英語をほんの少しアレンジするとネイティブに通じる英語になることを教えてくれる英語エンターテインメント本です。
「え〜っ。学校ではこう習ったのに、なんでダメなんですかー」と不満げな兵衛門に教えてくれる内容は、英語と日本語の考え方の違いから説き起こしてくれるもので、「ほぉ〜」と感心してしまいます。
実際の会話の場面でちょっとしたコツを思い出せば、英語が上達した気持ちよさを味合わせてくるかもしれません。
英語学習の実益もあり、読了した気持ちよさも備えているスグレモノです。
たとえば、表紙に載っているさし絵をアップでごらんください。
ちょっと怒っている店長の妹に「ディドどこなの?」たずねられ、兵衛門は「探したけど見つかりません」と言うつもりで「I've been looking for him.」と答えました。
いないなら仕方ない、と帰ってくれると思ったのに、
「探しつづけてくれるんなら、待たせてもらうわ」
と居着いてしまいました。
「探しても見つからないので、もう探すつもりはない」ということを伝えると、「じゃ、さっきの言い方はおかしい」と解説をしてくれます。
「I've been looking for him.」だと、今までも探したし、これからも探し続けるという意味になってしまいます。もう探し終わった、と言いたいなら「I've looked for him」と言わなければいけないのです。
この微妙なニュアンスの違いは、「現在形」「過去形」「過去完了形」などの文法用語では伝わりません。代わりに本書では、過去の状態、現在の状態、未来の状態を示したイラスト(時空トンネル)を使って、分かりやすく説明してくれます。
さらに、日本語と英語の感覚の違いについて次のような解説も加えていました。
日本語が未来という時間を切り開いて、何かを見つけようという
「発見する」感覚であるのに対して、英語は未来を作り「発明する」
感覚なんでしょうね。
このほか、
・ちょっと、離れた人に頼むときには、Could you 〜
・近しい人に頼むときには、Can you 〜
・ちょっと、強めに頼むときには、Would you 〜
・命令に近いときには、Will you 〜
など、ネイティブと会話する時のニュアンスを教えてくれます。
英会話初心者ではなく、どの教材も見飽きてしまった英会話中級者向けの良書と感じました。