新訳 経営者の条件


1995年1月刊  著者:P.F.ドラッカー【著】  上田惇生【訳】
出版社:ダイヤモンド社  \1,529(税込)  243P


新訳 経営者の条件 (ドラッカー選書)


経営学の神様」としてエグゼティブの間に人気のあるピーター・ドラッカーが11月11日に95歳で亡くなった、とのニュースを目にしました。
私も“自称”エグゼティブですから(笑)、彼の3大古典のひとつである『経営者の条件』を追悼読書として紹介させていただきます。


はじめにおことわりしておきますが、著者のいう「エグゼクティブ」とは、経営者や上級管理職だけを指しているわけではありません。
訳者は、
  「真意を訳せば『できる人』」
と言っていますし、著者は、
  「自らの知識あるいは地位のゆえに、組織の活動や業績に対し、実質的
   な貢献を行うべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである」
と定義しています。
しかも、本書の骨子はとてもシンプルです。
  (1) エグゼティブの仕事は、成果をあげることである。
  (2) 成果をあげることは習得できる。
ということは、修練次第では誰でもエグゼティブになることができる、と
いうありがたいお言葉です。
ただし、著者は「誰でも簡単に」とは言っていないわけで、
  「成果をあげることは、習得はできるが、教わることはできない」
  「成果をあげることは、教科ではなく自己習練である」
と、けっこう厳しいお師匠さんなのです。


続いて本書では、成果を上げるためにどのような心構えで仕事に向かっていくべきか、ということを具体的に書いています。一つひとつは、他のビジネス書で見たことがあるような内容に見えますが、忘れてはいけないのが、本書が最初に世に出たのが1966年だということです。
そういう目で見ていくと、「汝の時間を知れ」「成果をあげるためには、貢献に焦点を合わせなければならない」「強みをい生かせ」「最も重要なことから始めよ」などの一つひとつのアドバイスが、すべて“バイブル”の重みを持ってきます。


何よりも、自分もエグゼティブの一人である、という自信を湧かせてくれる一書でした。ご一読をお薦めします。


「追悼読書として紹介」などと書くと、私が何冊もドラッカーの著作を読了しているように聞こえますが、実は、本書しか読んだことがありません(笑)。
でも、尊敬する先輩に薦められて本書を熟読した時は、自分も物事を成し遂げるべき人間になりたい、ドラッカーの定義するエグゼティブになりたい、と思いを熱くしたものです。
たった一冊の読者ですが、私もドラッカーの弟子の末席に連なることを許してもらうことにします。


私と違って、本当に何冊もドラッカーを読了している土井英司さんが、ご自身のメルマガ「ビジネス・ブック・マラソン Vol.494」(11月24日号)の編集後記で、ドラッカーへの思いを書いておられました。


先日、ダイヤモンド社さんを訪問した土井さんは、ミーティングスペースで担当者を待っているときにドラッカーの直筆の色紙を見つけました。
色紙には、
   To celebrate its 80th year
   and in gratitude for many years of friendship.
と書いてあり、2年前にダイヤモンド社が80周年を迎えたお祝いの言葉のようでした。
亡くなったドラッカーをしのんで、土井さんは胸がいっぱいになったとのこと。

不肖の弟子である私も、胸がいっぱいになる土井さんの姿に厳粛な思いを感じました。