副題:おもしろい!進化のふしぎ
著者:今泉忠明/監修 下間文恵/絵 徳永明子/絵 かわむらふゆみ/絵 出版社:高橋書店 2016年5月刊 \972(税込) 175P
これまで地球上にあらわれた生き物のうち、99.9%は滅んでしまった。
かつて地球に君臨していた恐竜も、宇宙からやってきた巨大ないん石のせいで地球の気温が冷えてしまい、絶滅してしまった。
どんなに強そうな生き物でも、環境が変われば生きていけない。
環境に合わせてうまく進化していけばいいのだが、地球がどう変わっていくのか誰もはっきりわからない。だから、進化に正解はない。
地球上には、ものすごく不便そうな体や、たいへんそうな生き方、何の役にたつの? と言いたくなるような能力を持った生き物がたくさんいる。
だが、人間から見れば「ざんねん」な感じがする生き物も、環境の移り変わりをすり抜けて生き残ってきた「運のいい」生物たちなのだ。
驚いたり、気味悪がったりしながら、ちょっと「ざんねん」な生態を見てみよう! ――というのが本書の主題である。
全ページにかわいいイラストつきで、すべての文字にフリガナがふってあるので、幼稚園生でも読める……が、気持ちわるくなって生き物ぎらいになるかもしれないので、まず大人が読んでみよう!
読んでいて「クスリ」と笑ってしまった項目をいくつか紹介する。
ワニが口を開く力はおじいちゃんの握力に負ける
イリエワニのかむ力は動物の中でもトップクラスで、小型トラックくらいの重さでかむことができる。
逆に口を開く力は30kgしかないので、日本人の平均的なおじいちゃんが片手でおさえこめるほど弱いという。
ウシは1日に180リットルのよだれを出す
毎日60Kgの草を食べるウシは、4つの胃袋で反すうしながら消化する。
胃袋の中で草が発酵すると酸性になって胃袋を痛めてしまうので、ウシはアルカリ性のよだれで中和するのだが、その量がハンパない。毎日2リットルのペットボトル90本分のよだれを出しているのだそうだ。
一匹オオカミは弱い
オオカミの子どもは2才くらいまでに親の群れを出て、ひとり暮らしをはじめる。
その後ペアになる相手を探したり、別の群れを乗っ取ったりして「一匹オオカミ」を卒業するのだが、力のないオオカミは卒業できず、ひとりぐらしを続けなければならない。
「一匹オオカミ」は、組織に頼らずに一人で生きていく人=強い人、というたとえに使われる。
でも、本当のオオカミ界では、一匹オオカミは弱い立場なのだ。
ちょっと寂しそうに「男はつらいよ」とつぶやいているオオカミのイラストが可愛い。
このほか、グロテスクに感じる項目もあるので、注意してごらんあれ。