行動習慣コンパス


副題:生き方に迷わない! 後悔しない!
著者:佐藤 伝  出版社:学研パブリッシング  2011年8月刊  \1,575(税込)  205P


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習慣の専門家・行動習慣ナビゲーターの佐藤伝氏(伝ちゃん)が、習慣の大切さ、行動の方向性を指し示してくれる新刊である。


以前、伝ちゃんの『魔法の習慣』を取り上げたとき、50歳を超えてたどり着いたのが、

  人生でいちばん大切なことは、
  「なんとなくイイ気分! で生きる」こと。

という境地であることを紹介した。(昨年9月の記事 参照)


この新境地がよほど画期的だったのだろう。
今日取り上げる『行動習慣コンパス』でも、行動習慣コンパスの第1条に「なんとなくイイ気分」で生きていくことを挙げている。


そして伝ちゃん、

  「それ以上に大切なことなんて、ありません!」

と断言している。


なぜ私たちは、自分の夢を叶えたいと思うのか?
それは、「ハワイに別荘を持ちたい」とか、「憧れの異性とデートしたい」といった夢の先に、最高にハッピーな、イイ気分になれそうな予感がするからだ。


ということは、普段から「なんとなくイイ気分」でいたら、その夢が叶ったのと同じこと。


だから、人生のゴールは「夢を叶える」ことではない。
「なんとなくイイ気分」で生きることなのだ。


一番たいせつなことを「第1条」で宣言したあと、本書では良い行動を習慣づけていくための羅針盤(コンパス)をぜんぶで45箇条教えてくれる。


第6条「脳トレ・筋トレ・快トレ」
第8条「一寸先は、光」
第10条「人生には、楽しいことをする時間しかない!」
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標題を並べるだけで、なんだかワクワクしてくるが、特に胸にグッと迫ったコンパスを引用させてもらう。

1つめ。


ある有名な日本人女性プロゴルファーが、アメリカツアーに参加したが、3年以上も勝てなかった。
多くのメンタルトレーナーが指導をしてくれたが、成績は上がらない。


トレーナーたちの指導は、

  もう優勝したとイメージしなさい。鏡に映った自分に向かって
  「優勝してしまいました。うれしいです」とつぶやきなさい。

という内容だった。


一見ポジティブに見えるこの指導は、日本人に合わない、と伝ちゃんは言う。


「もう優勝してしまった」と過去完了形で言うのではなく、ワクワク現在進行形で、

  優勝する準備はできています!

と表現するのが良いのだ。


テレビのインタビューに「優勝する準備はできています!」と宣言したあと、ほんとうに彼女は海外初優勝をかざった、とのこと。

2つめ。


戦わない生き方が、実はいちばん強くて、しなやかで、楽しく楽な生き方だと述べたあと、伝ちゃんはクイズを出す。

問題:次の文章の「○」に漢字を入れてください。

  「私はあなたを○します。
   私が○○になるために」


ちょっとだけ考えてもらいたい。


ほとんどの人が「愛」と「幸福」を入れるそうだ。
僕が思いついた答えもそうだった。


しかし、伝ちゃんの答えは違う。


「許」と「自由」だというのだ。

  「私はあなたを許します。
   私が自由になるために」


人が誰かと戦ってしまうのは、相手を許せないからだ。「絶対許さない!」という感情が強いほど、自分自身を苦しめてしまう。


今はとても許せないが、いつか許すことにしよう。
戦わずに許すことが、無敵の最強戦略なのだから。

3つめ。


日常生活での具体的な行動指針として伝ちゃんが挙げたのは、「今日寝て、明日起きる」こと。
言い換えれば、「日付が明日になってしまう前に寝る」ということ。


夜更かしをしてホルモンのバランスを崩してはいけない。そのために、とにかく日付が変わる前に寝ることが大切なのだ。


――いかん、いかん。
あと1時間で日付が変わってしまうではないか。


まとめに入ろう。


45個の行動習慣コンパスの中には、きっとあなたの今の悪習慣を改めるキーが含まれているに違いない。
聴衆を前に行動習慣コンパスについて講演する伝ちゃんのビデオ映像を収録したDVDも付いている。


おためしあれ。