読書のチカラ


著者:齋藤 孝  出版社:大和書房   2011年6月刊  \1,365(税込)  197P


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関東は6月末から暑い日が続いている。
7月に入っても30度を超える日が続き、とうとう先週末に梅雨も明けてしまった。


暑い!


平日は会社のクーラーの効いているオフィスで快適にすごしているが、自宅ではカミさんが率先して節電していて、夜寝るときに少しクーラーをつけるだけだ。
だから、週末に自宅に居ると……暑い!


とにかく暑い。
もう本なんか読んでられない。まして原稿なんか書けるわけがない。


――というわけで、またブログ更新が遅くなってしまいました。
楽しみにしている読者の方にお詫び申し上げます。
ゴメンナサイ。


でも、そんなに楽しみにしていない方にはお詫びしません。
暑さに慣れるまで、しかたありませんよね〜。



こんな暑いさなか、少しでも本を読む気力が湧いてくるようにと、今回は齋藤センセが読書について暑く、もとい、熱く語った本を取りあげる。




以前にも書いたが、齋藤センセは、とにかくクドい。
ひとつのネタを延々と、これでもか! と掘り下げる。


読書を勧める本も何冊も書いていて、出版界が「○○力」ブームで盛り上がっていた2002年には、その名もズバリ『読書力』という岩波新書を出していた。


暑いのでネタバラシしてしまうが、今回取りあげる『読書のチカラ』も、「いま我々がなぜ本を読まねばならないのかを説き、読書の大切さを訴える」という主題は、『読書力』と共通している。


たとえ一度岩波書店で書いたテーマでも、別の出版社からオファーがあれば書く。さすが齋藤センセ、大切なことは何度でも言っておくのだ。


それに、『読書力』が出てから約10年の間に、世間の慌ただしさもずいぶん変わった。


ブログやmixiが流行ったあと日本でもツイッターが普及し、フェスブックが会員数を増やしている。齋藤センセが接している学生たちも思考に深さが足りなくなったという。


思考が浅くなれば心も浅くなる。


思考や心が浅いままケータイやインターネットにばかり頼っていると、いくら膨大な情報に接していても、まったく深められない。


自分の思考を定着させたり、掘り下げたりするには、いつでも友人と繋がっている環境ではなく、一人の空間・時間を作れ。それには本を読め! と、齋藤センセは説教してくれる。


ふだんなら鬱陶しく感じるかもしれないが、身心ともに暑さにグッタリしているときは、このくらいしつこく読書の効能を語ってくれないと腰をあげて本を読む気になれないだろう。


いくつか齋藤節をピックアップしておくので、ぜひ本書を手にとって精神の夏バテに陥らないよう、予防してもらいたい。



まず齋藤氏は、「優秀な人ほど本を読む」と断言する。
特に、統計数値などは示さない。
齋藤氏は根拠を示すより、つづいて、なぜそうなのかを考察する。


経営者は、社員や取引先の責任を負っているから、莫大なストレスを受けている。読書は、そのストレスとうまくつき合うための素晴らしい手段だ。


メリットは2つ。
一つは、一人の時間を作ることで精神のバランスを取りもどせること。
もう一つは、「経営者に欠かせない決断力・判断力を磨く術になる」ということだ。


現代は一般人にも決断力・判断力が求められる社会だから、この読書のメリットは経営者だけのものではない。
だから、一般人も本を読もう――と、さっそく読書のススメが述べられる。


このあと、次のように読書の素晴らしさを賛嘆する言葉がつづく。

  • 「心の豊かさ」を求めるなら読書がいちばん
  • 本は精神の不毛感を埋めてくれる
  • 本は自分を見つめ直す“鏡”になる
  • “孤読”を恐れない者の前に、道は開ける
  • 書棚があるだけで頭は良くなる
  • 「アウトプット」で本は血となり肉となる


すばらしい!


さすが、「読書しない人間は人にあらず」と言い切る齋藤センセだ。


最後の第5章には「読書力10倍アップの技法」と題して、数ある齋藤氏の読書ワザの中から10種類を厳選して勧めている。


これだけ「読書」「読書」と言われれば、読書力の夏バテに備えられるかも。