希望の仕事術


著者:橘川 幸夫  出版社:バジリコ  2010年1月刊  \1,260(税込)  174P


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ブログを再開して最初の読書ノートは、この本にしようと決めていた。
なにしろ、この本は、担当編集者が「橘川さんがいよいよ教祖になる本です(笑)」と惚れこんでいる本だからだ。

橘川幸夫とは


先月の半ば、時事通信を退職した湯川鶴章さん(『次世代マーケティングプラットフォーム』等の著者)がこれから何をするのかを発表するセミナーに出席した。
終了後の懇親会で同じテーブルになり、たまたま橘川幸夫さんの話が出た。同席していた大学院生の「橘川さんて誰ですか」との質問に、湯川さんが答えた。


「僕は読んでいなかったんだけど、『ロッキング・オン』や『ポンプ』っていう1970年代の若者に熱烈に支持された雑誌を創刊した人だよ。当時の読者から見れば、英雄みたいなものだ。ことし還暦を迎えるはずなんだけど、発想がムチャクチャ若くて、ものすごく刺激を受けるんだ」


僕も、湯川さんとほぼ同年代。橘川さんをリアルタイムで追いかけていた熱狂的なファンの皆さんより、少しあとの世代に属する。『ロッキング・オン』も『ポンプ』も知らなかった。


そんな僕がはじめて橘川さんの名前を知ったのは、2003年に出た『暇つぶしの時代』を読んだからだ。
「日本人が豊かさの飽くなき追求の果てに獲得したのは「暇」であり、その本質を理解しないと、社会・教育・産業改革の向かうべき道を見誤る」という刺激的な本だった。


その後、橘川さんの「つながりっぱなし宣言」というメールマガジンを読むようになった。このメルマガは、インターネットのつなぎっぱなしが珍しかった時代に橘川さんが書きはじめた文章を、毎日少しずつ配信していた。ちょうどツイッターのbotみたいなメルマガだ。


読みはじめてすぐ、けっこう誤字・脱字が多いことに気づいた(笑)。2ヶ月愛読するうちに、「内容はものすごく良いのに、こんなに誤記が多いともったいないなあ」という気持ちが抑えられなくなり、とうとう「書きためた文章なら、修正してはいかがでしょうか」というメールを送った。


メルマガの文章では、なんだか気むずかしそうなおじさんだ。ひょっとすると、「誤字・脱字も含めたライブ感が大切なのだ!」と一喝されそうな気もして、メールを出してから、ちょっとドキドキしてしまった。


2日後に届いた返信には、なんと!
  「こんにちは。ご指摘ありがとうございます。直しておきます。
   2月に新刊の小説が出ますので、よろしくです(笑)」
と、書いてあった。


なーんだ。いい人じゃないか。よかった……。
このメールがきっかけになり、その後もちょくちょく誤記を指摘するメールを橘川さんに送るようになる。冗談半分とは思うが、とうとう「校正部長」という役職に任命されることになった。


(2月4日へつづく)