副題:サブプライムに負けない金融リテラシー
著者:勝間和代/編 出版社:日本経済新聞出版社 2009年4月刊 \1,680(税込) 319P
私は古いタイプに属するようで、お金儲けに関する本を書店のレジに持っていくのが苦手です。ちょっとエッチな本と同じく、書店員さんに書名を見られると恥ずかしく感じてしまうのです。
たまたま出版社さんから献本いただいたので、今日は思いきって「投資」について勉強してみることにしました。
「金融」や「投資」に興味のある方、特に初心者の方、おつきあいください。
今回紹介する『勝間和代のお金の学校』は、日本経済新聞出版社さんから献本いただきました。日本経済新聞出版社さん、ありがとうございました。
売れっ子作家の勝間和代さんが4人の専門家に金融についてインタビューし、最後に勝間さんが編集部からの質問に答える、という構成です。
「金融リテラシー」を教える「学校」という位置づけなのですが、この本、アマゾンのカスタマーレビューで、さんざんに酷評されています。
・金融に関するリテラシー(情報活用能力)について学べるようには感じられま
せんでした。
・この程度の本を読んでも表層的な知識に留まり、かえって他人の意見に流される
ようになるだけで、金融の知識が自分の血や肉として身に付くことはありません。
・素人を投資に引き込もうとする意図が見えてちょっと遠慮したい一冊。
中には「次から次へと本を出すけど(中略)初心に帰ったほうがいいのでは」と、罵倒としか取りようのない感想を載せている人もいます。
そこまで言わなくてもいいと思いますけどねぇ……。
たぶん、酷評している人は、実践的な投資術を教えてくれると期待したのでしょう。
本書は、初心者がいきなり実践に向かう前の心構えを教えてくれる本ですので、具体的な投資術を知りたい人には期待はずれかもしれません。
しかし、本の内容の予想が外れたからといってそんなに怒ってはいけません。
投資も読書も「自己責任」をお忘れなく。
ディーラー・証券アナリストを経験している勝間さんが4人のプロと対談する本書を読みおわって、私が理解したのは、次のようなことです。
その1。プロの世界は奥が深い。
専門用語をある程度理解した方が良いのは分かりますが、これから株式投資を始めようとする初心者に向かって、勝間さんは次のように言いました。
やはりαとβの違いであるとか、スモールとラージ、バリューとグロースと
いったような、わりと基本的なことはひと通り知っておいてほしいなと思う
んですけれども。
対談者の太田氏も「それは知らないといけないでしょう」と同調しています。
「基本的なこと」と挙げている用語が、当然ながらはじめて聞く言葉ばかり。少々の学習では足りないぞ、と言っているのです。
その2。個別銘柄株式を買うには更に努力が必要。
買おうと思う会社の経営内容をよーく検討するのはもちろんですが、買ったあとも、その会社をきちんとウォッチしていなければなりません。「必ず週に一回は投資した企業のファンダメンタルズを見ろ」と言っています。
時間を注ぎ込む覚悟が必要。
でなければ個別銘柄を買っても後悔する、というのです。
その3。努力できないなら、プロに頼め。
自分で知識を深めたり、時間をかけて投資先企業のことをウォッチすることができないのなら、投資信託がお勧めですよ。プロに手数料を払って資金を運用してもらうしかありませんよ、と言ってます。
勝間さんは『お金は銀行に預けるな』というベストセラーで多くの初心者を投資市場に導きましたが、昨年のリーマンショックで皆さん大損してしまいました。
リーマンショックの後に出版された本書ですので、少しは反省の言葉が書かれているかと思いましたが、勝間さんはブレていません。
「毎年10%、20%、30%動くのは、投資では当たり前なんです」
「借金さえしていなければ仮に運用に失敗しても元本がなくなってそれで終わり
なんです」
投資はリスクを取ることである、ということを理解するのが「リテラシー」のようです。