副題:「ひらめき脳」が目覚める楽しい習慣術
著者:佐藤富雄 出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2008年7月刊 \1,260(税込) 202P
7月20日発行の読書ノート(こちら)で横倉恒雄著『脳疲労に克つ』を紹介しましたが、また本日も「脳」を喜ばせる本を取り上げました。
横倉さんは脳の疲れを取ってあげることによって健康を取り戻す方法を教えてくれました。
今回は脳をワクワクさせることによって「ひらめき」を増進させ、仕事も人生も成功に導く方法を教えてくれます。
佐藤さんのおっしゃるには、脳に願望がきちんと伝わっていれば、脳は願望を達成するためにちゃんと働いてくれる。
大切なのは、「胸がときめくような期待」や「ワクワクする感情」が生まれてくるまで、脳に願望や成功したときのイメージを教えてあげること。――ということなのです。
だって、脳のもつ最も原始的なパワーは「欲望」であり「生き残る」ことですから。
「お金持ちになりたい」という目標があったとしても、表面的な願望では「ひらめき脳」も反応しません。
お金持ちになって手に入れられるモノや生活を具体的に思い浮かべ、
「ああ、そんなことができたらスゴいな!」
とワクワクして、楽くなったきたら、
「実現するぞ!」
という欲望が生まれ、そこから「ひらめき脳」になるのです。
そんな快適状態を自動的に作り出す方法を、佐藤さんは第3章で明かしています。
私の書評は、いつもはネタばらししない方針で書いていますが、「新刊ラジオ」というポッドキャスティング番組の8月1日号に佐藤さんが出演したとき、ご自分でバラしていましたので、今回は私も書かせていただきます。
「感動した」とか「嬉しい」とか「ありがたい」等の脳にとって快適な状態をつくる方法。
それは、「歩く」ということです。
歩きはじめて約15分で「ベータエンドルフィン」が分泌されて気持ちが高揚し、20分経過すると「ドーパミン」が分泌され、ハッピーな気持ちが高まります。35分が過ぎるころには「セロトニン」の分泌がはじまり、興奮を抑えてリラックスをうながしてくれるのです。
私たち人類は、遺伝的に歩けば快感を感じるようになっていて、歴史をさかのぼれば、氷河期にホモ・サピエンスが生き残ることができたのも、この「歩けば快感を感じる」という性質のおかげなのだそうです。
同じ時期に生存していたネアンデルタール人は、きっとこの性質が欠けていて、氷河期になってどこかへ移住するよりも「じっと待っている」ほうを選び、そのまま絶滅してしまったのです。
「佐藤さん、見てたんですか?」とツッコミたくなるようなユニークな説ですが、考え方としてはスッと胸に入ってきます。
そうかぁ。私たちは、歩けば歩くほど、脳に刺激を受けて、「あれもやってみよう」「これも楽しいかもしれない」と思いつくんだなぁ。
いいこと聞いちゃった。やってみよう。
このほか、次のような見出しや太字部分を読んでいるだけで、なんだかワクワクしてきます。
- おもてなしこそ「ひらめき脳」を鍛える好機
- 最高の結果は、謙虚な人に巡るもの
- 「ありがとう」と誰にでも言える人は、仕事もうまくいくし、人間関係もうまくいくし、幸運もどんどんやって来るようになる
読みおわると脳の疲れも取れて、もっと自分の脳を喜ばせてあげたくなります。