子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方


著者:アデル・フェイバ/共著 エレイン・マズリッシュ/共著 三津乃・リーディ/共訳 中野早苗/共訳 
出版社:きこ書房  2006年8月刊  \1,260(税込)  147P


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私の愛読している読書ブログのひとつに「マインドマップ的読書感想文」というサイトがあります。


管理人の smooth さんは、自己啓発系の本、特に勉強本が大好きで、私のようにジャンルを絞らない読者からすると、
「毎日ビジネス書ばかり、飽きずによく読むものだな〜」
と感心するくらい勉強本のオンパレードです。


その smooth さんが先日のブログで珍しく子育て本を取り上げていて、次のように勧めておられました。

   正直なところ、今までそれほど子育て本を読んできたわけでも
   ないので、この本がベストと言う資格は私にはないのですが、
   少なくとも「読んでよかった」「子どもに対する対応が変わった」
   となら言う事はできます。(
       「マインドマップ的読書感想文」2月14日号より


なんと正直な感想でしょう(笑)。


ふだん子育てと関係ない本ばかり読んでいるとはいえ、現役のパパが勧めてくれる本です。
きっと何か収穫があると思って本書を手に取りました。


実は、私は子育て本を「それほど読んでない」どころか、全く読んだことがありません。
決して子育てに無関心というわけではなく、子育て本を読んでしまうとほかの子とくらべたり、我が子を型にはめようとしてしまうような気がしたからです。
初めて読む子育て本が、日本人の書いたものではなく、生活習慣も子育て文化も違うアメリカ人の書いた本になってしまいましたが、この点は心配無用でした。


日本もアメリカも、親が子を思う気持ちは同じ。
子を思うあまり、よけいな口出しをしてしまうことも同じです。


あげくの果てに、
  「こんなに子どものことを思って言ってるのに、
   ちっとも分かってくれない」
  「何度も言ってるのに分かってくれない」
と、イライラをつのらせてしまう。


子どもとのコミュニケーションに悩んでしまうのは、万国共通のようです。


著者が教えてくれる解決策は「子どもではなく、親が変わろう」ということです。


子どもの気持ちを否定していませんか?
気持ちを尊重してもらえないと、どう感じる?


読者に問いかけながら、子どもの気持ちになって考えることの大切さを諄々と語りかけてくれます。


つい親が口に出してしまいがちな小言や説教、エスカレートして罵倒する言葉やおどし文句を、著者は「役に立たない態度」と言い切ります。


そして、具体的な解決法として「子どもの協力を引き出す方法」「子どもの自立を養う方法」「子どもを役割から解放する技術」など、(ここだけはアメリカ人らしく)箇条書きで示してくれます。


あっ、これは気をつけなくちゃ、とか、あぁ、これは実践している、と自分の子育て経験と比べながら、腑に落ちる読書をさせてもらいました。


特に印象深かったのが、「罰の代わりに解決策を考えよう」という第3章です。


子どもに罰を与えても効果はありません。罰を受けた子どもは心を乱してしまい、自分のしたことを後悔するよりも受けた罰のことばかり考えます。こんなひどい罰を与えた親にいつか仕返ししてやろう、という空想で頭がいっぱいになった子どもに本当の反省の心は起きてきません。


そういえば、中学校の国語の教科書に、ヘルマン・ヘッセの少年時代の物語が載っていました。
詳しいストーリーは忘れてしまいましたが、何か悪いことをしてしまった少年が父親に許しを請うものの、父親は許してくれず、少年に罰を与えるという物語だったように思います。(ヘッセは『車輪の下』でも父親との葛藤を描いていますので、私の記憶が混ざっているかもしれません)


何で大人は子どもの気持ちを分かってやらないんだよ!! と、私は少年の気持ちに共感して憤りを感じたものです。「僕は大人になっても、子どもの気持ちを忘れない!」と決意したことを覚えています。


本書を読んで、
  「大人になった自分は、
   子どもの気持ちを本当に分かっているのか?」
と、自問してしまいました。


親になるということは、自分の子ども時代を思い出し、少年時代をもう一度経験するようなものかもしれません。


我が子と自分のコミュニケーションを見直し、自分を振り返るきっかけになる本でした。