女性のための ハッピー転職バイブル


著者:山下 さすが  出版社:中経出版  2007年9月刊  \1,155(税込)  175P


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対象読者は、社会人になったものの、今いる会社の居心地が悪い、私にはもっとやりたいことがある、など、心の中で転職願望を持っている20代から40代のはたらく女性。マーケティング用語でいうF1層(20歳〜34歳までの女性)とF2層(35歳〜49歳の女性)です。


私のような全く転職願望のない中年男性が読む本ではありません。
なのに、何を間違ってこの本を手にしたかというと、著者の山下さんが、私の知り合いだからです。
メルマガやブログで書評を書くようになってから、著者の方と知り合うチャンスが増えました。でも、知り合いから「本を出します」と言っていただくことはめったにありません。メデタイ、メデタイ! こんなメデタイことは、一緒にお祝いしなけば、と本書を手に取りました。


山下さんの「転職キャリア」は華やかです。
女子短大を卒業後に、まず一部上場企業に就職しました。仕事もできないくせに文句ばっかり言ってる「バブルOL時代」を過ごしたあと、実力をつけるためコピーライター養成講座に入学します。卒業後、当然のように広告会社に転職し、大手企業の広告制作を担当してハクをつけました。
更なるステップアップを目指して派遣社員をしながら32歳で大学に再入学。卒業後に入社した大手外資系通販会社では、日本で最大級の売上を誇るWEBサイトを立ち上げるという業績をあげました。この経験を買われて37歳で6回目の転職を果たしたときには、年収が当初の2.5倍となる偉業を成し遂げていたそうです。年収100倍! などとハデな売り文句ではなく、2.5倍というのがやけにリアルです(笑)。
これだけの実績を上げたあと独立した山下さんは、現在、なんでもござれのフリー稼業をばく進しています。なかでも、転職6回、応募社数1000社、受験社数250社の経験を活かした「転職裏ワザプロフェッショナル」としてのウンチクを傾けたのが本書です。


山下さんによれば、「女性は転職が難しい」とか「転職は女性が不利」といわれているのは、すべてウソです。年齢が上がるほど不利になるというのも間違いで、「35歳転職市場は意外と有利」だそうです。
そのうえで、自分らしい履歴書・職務経歴書の作り方、面接のノウハウを教え、年齢なりの落ち着きは必要などのアドバイスをしてくれます。転職の現場に立つ女性から見れば、ノウハウを教えてくれ、励ましてくれてる先輩の存在は、きっと心強く思うことでしょう。いかにも「女性向け」という少女マンガ風のイラストが、読者の不安感もぬぐい去ってくれそうです。


実は、私が山下さんと異業種交流会で出会ったとき、山下さんの名刺の社名は「有名プリンタメーカー販社」でした。私の書評ブログも見てくださいねー、と、お会いしてすぐあとに、森永卓郎さんの『辞めるな!キケン!!』のレビューをブログに載せました。独立や転職はやめておきなさい、という内容なのですが、山下さんから「わたし、会社やめちゃいました……」とメールをいただいた時には、気まずい思いをしたものです。
いま思えば、あの時、山下さんは6回目の転職先を退職し、転職人生を「上がり」にして独立したのですね。


それから2年。山下さんが熟成させた転職ノウハウは、とてもまろやかな味付けに仕上がっていましたよ。