超麺通団3 麺通団のさぬきうどんのめぐり方


著者:田尾和俊  出版社:西日本出版社  2006年8月刊  \980(税込)  127P


超麺通団3 麺通団のさぬきうどんのめぐり方


讃岐うどんブームの仕掛け人となった「麺通団」を描いた映画『UDON』が公開されています。
本書は、映画のモデル「麺通団」の団長が、初心者むけに定番の讃岐うどん巡りを整理して紹介する、というガイドブックです。
ブームを仕掛けた本人、いわば「元祖」が「押さえておきたい讃岐うどん29店」「黄金モデルコース10軒の解剖解説」を紹介するのですから、いまから讃岐うどん巡りにでかけようという人にとっては、貴重な情報のかたまりです。


といっても、神奈川在住の私は、わざわざ香川県までうどん巡りにでかけるつもりはありません。
じゃ、なぜ行きもしないうどん巡りのガイドブックを買ったかというと……


本書の内容を紹介する前に、ふだん図書館ですませている私が、なぜ本書を書店で購入したか、というところからはじめましょう。(最近、このパターン多いなぁ)


さて、なぜ行きもしないうどん巡りのガイドブックを買ったかというと、
本書のもうひとつのターゲット読者
  「何でもええから団長のバカ話を読みたい人」
というのに私が該当したからです。


あれは、まだ暑い8月末のことでした。


踊る大捜査線 THE MOVIE』を制作した亀山千広プロデューサーと本広克行監督のコンビで、今年は『UDON』を制作し、もうすぐ公開! ということを知りました。
私は『踊る大捜査線』ファンの一人です。今度はどんな映画かなと思い、フジテレビで放送した関連番組をさっそく録画しました。
映画の撮影風景を紹介した番組(メイキングもの)かな、と思ったのですが、見てみると、ユースケ・サンタマリア小西真奈美も出てきません。予想に反し、映画のモデルになった「麺通団」が女子アナを讃岐うどん巡りに連れていく、という内容です。


笑いました。
うどん巡りもおもしろかったのですが、麺通団の面々の会話、とくに団長のバカ話に大笑いしてしまいました。


いやぁ、面白い! もっと麺通団のことを書いた記事はないか、とネットで検索したところ、麺通団が放送したラジオ番組をFM香川がポッドキャストしているのを発見。(麺通団のUDON RADIO うどラヂ!


このラジオ番組、映画公開直前までに17回も放送されていました。
ダウンロードして聞いてみると、これがまた爆笑ものです。
電車のなかで、おもわず笑い声をあげてしまったほどの面白さでしたよ。


映画公開にあわせて「麺通団3」という本も出したばかり、とのこと。
図書館に申し込んでいると、映画が終わっちゃいます。もう、これは、買うっきゃないでしょう!


……以上が、本書を手にするまでのお話です。


本の内容にいきましょう。


うどん巡りに出かける前に、まず3つの基礎を教えてくれます。(団長は「詰め込み教育」と命名しました)


その1 讃岐うどん麺とメニューの基礎知識
  麺は、生麺、半生麺、ゆで麺に分類されます。
  ゆで麺は、ゆでた後そのまま出すか(釜揚げ麺)、水で締めるか(水締め麺)
  で分類が変わり、更に水で締めたあともう一度あたためるか、冷たいままか、
  冷凍するか、というバリエーションがあり、うどん何をつけて食べるかに
  よって更に種類が分かれます。
  たとえば、ゆで麺をそのままかけダシで食べると釜かけうどん、つけダシで
  食べると釜あげうどんになります。
  いっぽう、水で締めたあともう一度あたためてかけダシで食べるとかけうどん、
  つけダシで食べると湯だめうどん。
  もう、文章で表現すると何がなんだか分りませんが、団長ご自慢の図を見ると
  一目瞭然ですよ。

その2 讃岐うどん店の基礎知識
  メニューから食べたいものを選んで注文すると、店の人が持ってきてくれる、
  という方式の店を本書では「フルサービスの店」と呼びます。
  香川県以外では、この「一般店」方式がほとんどです。
  ところが、他県とちがい、香川県ではセルフサービスの店も多く、名物店だっ
  たりするとのこと。
  昔から製麺所を営んでいて、お客さんがくるので勝手に食べてもらうようにした、
  というセルフサービスの店は、「製麺所型店」なんて命名されています。

その3 讃岐うどん巡りの基礎知識
  交通手段や定休日一覧、マナーについてのお願いが書かれています。


基礎教育が終わったところで、麺通団が薦める「中讃黄金モデルコース」のうどん巡りを実際にメンバーが食べ歩きます。
集合時間になっても団長が現れず、電話してみたらまだ寝ていたことが発覚、なんていう古典的ドタバタでスタート。
ここも笑えます。


魂と愛情を込めたお店の紹介も、やっぱり小ネタたっぷりで、1ページ3回は笑かしてくれます。団長が書くと、そういう文章に行き着いちゃんうんだとか。


本書も面白いですが、ポッドキャストは、もっとバカ話いっぱいです。


まず、ポッドキャストを聞いてみることをお薦めします。
きっと、本書も読んでみたくなりますよ。