ジンギスカンパーティー


昨夜、学生時代の友人3名(2年先輩のAさんと、同級生のBくん、Cくん)と久しぶりに飲み会を行いました。


前回おなじメンバーで飲んだのは、ちょうど3年前。不本意な異動で新しい職場に移り、ちょっとクサっていた私を励ます会でした。
卒業してから20年以上も経つのに、忙しいなか集まってくれたのが本当にありがたく、その節は、心のなかで泣いてしまったものです。


サラリーマン人生にはいろんなことがあるもので、今回は、不本意な異動で単身赴任中のAさんが元気をなくしている、とのこと。3年前のお礼のつもりで、今回は私が幹事役を買って出て、飲み会の日時設定をさせていただきましたよ。
といっても、全くタウン情報にうとい私です。お店選びも予約も、集合場所の指定も、もひとつ二次会の会場予約も、ぜーんぶ主賓のAさんにお願いしました。


やって来たのは、関東で3本の指に入る、とAさんご推奨のジンギスカン専門店。北海道生まれの私たち4人にとってジンギスカンは慣れ親しんだ味のはずですが、やっぱり「内地」のお店はひと味ちがいます。ラムカルビなんていうメニューがあります。
「あれ? カルビって焼き肉屋さんの牛肉のことじゃないんですか?」という素朴な疑問を口にしたところ、「カルビってのは、バラ肉のことだから、牛肉にかぎらないんだよ。豚カルビだってあるだろ」とAさんが教えてくれました。


そんなこんなで、いざ、話がはずみはじめると、Aさんの境遇についての話題はほんの少し。4人ともIT業界の人間なので、お互いの仕事の話や、IT技術の話で盛り上がり、学生時代の成績の悪さを自慢しあったかと思えば、最近の学生のデキの悪さに日本の将来を憂えたりして、話題があっちへ飛んだりこっちへ来たりしました。


まったく専門外の話題で面白かったのが、組み込みソフトがいかに大規模化しているか、という話。
「組み込みソフト」というのは、いろいろな製品を動かしている内蔵コンピュータのソフトウェアのことです。DVDレコーダーも携帯電話もカーナビも、組み込みソフトがなければただの箱です。なにも難しいことをしていないように見えるテレビでさえ、最低5つもCPUが入っているそうですよ。
AさんとBくんは、日本を代表するメーカで組み込みソフトのプロとして一目置かれる存在です。お二人から聞いたところによると、製品の高機能化に伴って組み込みソフトは大きくなる一方で、ソースコードが300万行、400万行に達します。某社の高級自動車に搭載する組み込みソフトは、とうとう700万行に達するとか。
どれくらい巨大プログラムなのかを実感してもらうため、学生向けの講演会でBくんがソースコードを印刷する紙の束を用意したことがあります。A4のコピー用紙1枚に70行のソースコードを印刷するとして、400万行を印刷するのに必要な紙は、約5百70万枚。コピー機に補給する紙の束(500枚)に換算して1万1千束ですから、目の前に積みきれませんね。
こんなに大量のプログラムを人間が作るのですから、どこかに間違い(バグ)が無いわけがない。……恐ろしいことです。


ちょっと意外だったのが、「RSS」「ポッドキャスト」の話題になったとき、BくんもCくんも、「何、それ?」という反応。ITの最先端で仕事をしているお二人ですが、こんな死角もあるんですね。
Aさんと私が簡単に説明したところ、「もう、これ以上、情報が押し寄せてくるのは勘弁してもらいたい」とのこと。情報の取捨選択に苦労しているようです。


気がついたら、終電ぎりぎりでした。
あんなにリラックスして時間を忘れたのは久しぶりです。


仕事も生活も違う空間に生きているけど、また会って話がしたくなる。
会って、とりとめのない話をするだけで元気になる。


そういう友人は、一生の財産ですね。きっと。