著者:安住紳一郎 出版社:小学館 2006年4月刊 \1,000(税込) 143P
家族そろって見るテレビ番組は、我が家の場合、野球かバラエティです。
中でも、「ぴったんこカン・カン」での泉ピン子と安住アナウンサーの掛け合いが大好きで、図書館で本書の順番がまわってくるのを楽しみに待っていました。
ところが、いざ本が届いてみると、カミさんが言うのです。
「えー、こんな本読んでるの見られると恥ずかしいから、
電車の中で広げちゃダメ!」
そうかぁ。やっぱり恥ずかしいかなぁ……。
そんなこと言われたら、ブログで取り上げるのだって恥ずかしくなっちゃう。
でも、楽しみにしていた本だし、やっぱり面白かったので、知性を疑われない程度に、いやいや、知性を疑われたとしても紹介しちゃいます。
安住アナウンサーが嫌い、とか、テレビは国を滅ぼす、という信念の持ち主は、読み飛ばしていただいたほうが良いと思います。悪しからず。
まず、本書の成り立ちをご説明すると、本書は安住アナウンサーの人気にあてこんで大急ぎで作った本ではありません。
もちろん、タレント本には違いないのですが、本書の原稿は発刊の3年半も前から書きためられたものです。(『テレパル エフ』2002年11月号から2005年6月号に連載)
内容は、掲載時点の仕事の内容やロケで出かけた土地の話をネタに、安住アナ自身が感じたことをつづるエッセイ風の作文です。
最初の4、5編を読んで驚いたのは、まぁ文章の下手なことヘタなこと。
しゃべることのプロも、文章はダメなんだなぁ。
それでも、数をこなすことが文章の訓練になったのか、それとも年月が風格を与えてくれたのか、だんだん、読みやすい文章になり、内容そのものに目がいくようになりましたよ。
アナウンサーの世界には華やかなイメージがありますが、本書によると、仕事の時間は不規則で、休みは少なく出張(ロケ)も多い、けっこう大変な仕事のようです。
テレビ局の給料は他の会社より高額と思うのですが、3年間で80万円しか貯金が増えていないなんていうグチも書かれています。(使うヒマもないでしょうに、いったい、何に使っているんだか)
おまけに、アナウンサーはチームで仕事をする機会が少ない。
ロケに行くときも、準備を進めてきたスタッフがお互いに仲良くなったころ、最後の収録場面でアナウンサーが駆けつける形になります。自称「人見知り」の安住アナは、なかなかスタッフと溶けこむことができません。
元気がなくなっている時にかぎって、
「私は安住アナのことが好きで、ずっと番組を見てきましたが、
最近さすがに見飽きてきました。どうにかなりませんか?」
なんていう、強烈なハガキが届いたりします。
尊敬する三雲アナウンサーと一緒に仕事できる午後の情報番組『ジャスト』が打ち切られることになったとき、安住アナウンサーは食欲も出なくなりました。
本書には書かれていませんが、『ジャスト』の最終放送日、三雲アナに「安住くん、泣くなよ」と言われ、著者は号泣してしまいます。
こんなアナウンサー、見たことありません。
そんな安住アナの身辺で起きる出来事や学生時代の思い出話。
安住アナの大ファンにはたまらない一書です。
編集者との掛け合いも笑えます。
恥ずかしがらずに、手に取ってみてはいかがでしょうか。