分かりやすい図解コミュニケーション術


著者:藤沢 晃治  出版社:講談社α新書  2006年1月刊  \840(税込)  205P


分かりやすい図解コミュニケーション術


図解といえば久恒啓一さんが有名です。
また、松山真之助さんの『マインドマップ読書術』のように、頭の中や読んだ本の内容を図解する応用分野もにぎわっています。
じゃ、まず図解の基礎的なことを概観しておこう、と思っているところに、ちょうど良さそうな本を見つけました。
本書の著者には『「分かりやすい説明」の技術』などの著作があり、分かりやすいプレゼンテーションには定評がある、とのこと。


本書は「図解とは何か」という第1章からはじまり、理解のしくみ、図解の作成手順と解説が続き、基本から順を追って教えてくれます。
第4章では、具体的な図解方法を「7つの秘伝」という原則にまとめてくれました。実例を見ながら著者の秘伝を読むと、なんとなく「分かった」気持ちになること受けあいですよ。


「図」に関するノウハウを文章だけで紹介するのは難しいので、7つの秘伝を貫いている精神(図を書く心がまえ)について私が感じたことを紹介します。
それは、自分の都合をひっこめて相手が理解しやすいように工夫する、ということです。
当然といえば当然。でも、この当たり前のことを守れない人が書いた図は、わかりにくいのです。
たとえば、自分の会社や自宅の案内図を描くとき。自分中心に発想する人は、駅が上にあって目的地(会社や自宅)が図の下部にある地図を書くことが多い、とのこと。ところが、相手の人が駅でこの地図を開くと、自分の向かう方向と地図の進行方向が逆になってしまいます。(自分は駅を背にして前に進むのに、地図では駅の手前に目的地がある)
相手の頭のなかで180度向きを変えさせるような地図は、わかりにくい地図です。
同じように、情報を詰め込みすぎてゴチャゴチャした図ができあがるのは、書く側の都合です。情報の発信量を多くしても、伝わらなければ意味がありません。


この基本を忘れなければ、「7つの秘伝」も大いに役立ちそうです。